【レトリカ教養ラジオ】第6回【信用失墜行為の禁止】

【レトリカ教養ラジオ】

第6回

【信用失墜行為の禁止】


今回からは,スライド1枚ではなく,複数のスライドで,わかりやすく,お届けします!



地方公務員法第三十三条に定められた「信用失墜行為の禁止」の規定は、地方公務員がその職務や地方公共団体に対する社会的信用を保持し、公務の円滑な運営を確保するために設けられたものです。この条文は、職員個人が公務員としての職責を果たすだけでなく、その職に就くすべての公務員に共通する倫理規範を遵守することを強調しています。以下、この規定の具体的な内容を解説します。

1. 「その職の信用」とは?

「その職の信用」とは、地方公務員が職務を遂行する上で、国民や住民から信頼されるために必要な社会的評価や期待を指します。公務員は公共の利益を優先し、私利私欲に左右されることなく、公平かつ公正に職務を遂行することが求められています。そのため、公務員の行為が社会的な信頼を損なうような場合、その職に対する信用が失われることになります。

たとえば、職務において不正行為や不適切な対応を行った場合は、その職に対する信用を傷つける行為と見なされます。また、職務外での私的な行為であっても、社会的規範に反する行動(例:不法行為や著しい不品行)を取れば、公務員としての信用を傷つけることになります。

2. 「職員の職全体の不名誉となるような行為」とは?

この部分は、個別の公務員の行動が、その公務員個人にとどまらず、地方公務員全体の社会的評価や信頼に悪影響を及ぼす場合を指しています。公務員は一部の職種や役職だけでなく、地方公共団体全体の顔として見られるため、一人の職員の不適切な行為が、全体の信用失墜につながる恐れがあります。

たとえば、特定の公務員が汚職や賄賂を受け取るなどの犯罪行為に関与した場合、その行為は単なる個人の問題ではなく、地方公共団体全体の不名誉となりかねません。また、公務員が職場内外での不適切な発言や行動により、地域社会からの信頼を失うような事態も、職全体の不名誉とされることがあります。

3. 判例や学説の視点

判例においては、公務員の信用失墜行為の具体例として、職務上の不正行為や不適切な人間関係、私的な犯罪行為などが挙げられています。これらの行為は、公務員としての倫理や法令遵守の意識が欠如していると判断され、信用失墜行為に該当するものとされています。

学説では、信用失墜行為の範囲は広く、公務員が社会的な立場を自覚し、自己の行動が公的な信頼にどのような影響を与えるかを常に意識することが求められるとされています。公務員は一般の市民よりも高い倫理基準が課されており、その職務の重要性や公的役割に応じて厳格な行動規範が必要とされるという考え方が一般的です。

4. 禁止される行為の具体例

具体的に禁止される行為としては、次のような例が挙げられます。

  • 職務上の地位を利用した不正な利益の取得や便宜の提供

  • 業務遂行における差別的対応や偏向的判断

  • 職務上知り得た秘密情報の漏洩

  • 公務員としての品位を欠く行動(飲酒運転、暴力行為など)

これらの行為は、公務員としての責任感や職務倫理に反し、職務の信用を損なうものとされます。特に、汚職や職権濫用といった重大な不正行為は、職員個人のみならず、地方公共団体全体の信用を失墜させる結果となります。

5. 結論

地方公務員法第三十三条の「信用失墜行為の禁止」は、公務員としての職責を全うするために不可欠な規定であり、公務員一人一人が自己の行動に対する社会的責任を認識し、常に高い倫理基準を守ることが求められています。公務員の不適切な行為は、その職務に対する信頼を損ね、ひいては地方公共団体全体の不名誉につながるため、この規定は公務員の職務倫理の根幹を成すものです。


レトリカ教採学院
河野正夫


いいなと思ったら応援しよう!