「現職教諭枠」と「講師として受験」:面接官の視点から考える最適な選択

「現職教諭枠」と「講師として受験」:

面接官の視点から考える最適な選択

現在、他県で正教諭として10年以上の経験があり、家庭等の事情で、地元の教員採用試験を受け直すことを検討している場合。

その際、現職教諭枠での受験と、いったん退職して講師として受験する場合のどちらが望ましいのかという疑問ですが、これは地元の採用試験の評価基準や面接官の視点を考慮した上で慎重に判断する必要があります。

①面接官の視点

②両者のメリット・デメリット

③推奨戦略

の三つの観点から詳細に分析し、どちらがより有利かを検討します。

1. 面接官の視点から考える評価基準

採用試験の面接官は、単に受験者の能力を見るだけでなく、以下の三つの主要な視点から受験者を評価します。

① 「即戦力として期待できるか」  

➡︎ 12年の教諭経験があるため、教育実践力が高いことは大きな強みです。

しかし、現職教諭枠での受験と講師としての受験では、その即戦力性のアピールの仕方が異なります。

② 「地元で長く働く意思があるか」  

➡︎ 現職教諭枠の場合、「なぜ今の自治体を辞めてまで地元で働きたいのか」という理由を明確に伝える必要があります。

一方、講師として地元で働いてから受験する場合、「すでに地元で働いている」ため、長期的な勤務意欲が伝わりやすいです。

③ 「新しい環境に適応できるか」  

➡︎ 小学校の教員は、教育方針・カリキュラム・地域性に大きく影響されるため、他県からの転職者がどれだけ新しい環境に馴染めるかを面接官は慎重に見ます。

講師として受験すれば、すでに地元の環境で勤務している実績を示すことができます。

2. 現職教諭枠で受験 vs. いったん退職して講師として受験

次に、両者のメリット・デメリットを整理します。

(1)現職教諭枠で受験する場合

メリット

・12年間の正教諭経験を強調しやすい(即戦力としての評価が高い)。

・試験に落ちても今の職を続けられるため、リスクが低い。

・採用側としても、正教諭経験者を確保できる点は魅力的。

デメリット

・「なぜ今の自治体を辞めるのか」が厳しく問われる。

・地元での勤務経験がないため、地域適応力が未知数と見なされる可能性がある。

・面接官によっては、「今の自治体を辞めてきた人はまた辞めるのでは?」と懸念されることがある。

💡 面接時のポイント

➡ 地元で働きたい強い動機(家庭の事情+地元貢献の意志)を明確に説明する必要がある。

➡ 他県での教育経験を、地元の教育環境にどう活かすかを具体的に語ることが求められる。

(2)いったん退職し、地元で講師として受験する場合

メリット

・「すでに地元で働いている」ため、地域適応力を証明しやすい。

・「長く地元で勤務する意思がある」と面接官に納得してもらいやすい。

・現地の教育方針や校風に慣れる時間があり、面接時のアピールポイントを増やせる。

デメリット

・試験に落ちた場合、正教諭に戻れず、講師のままになってしまうリスクがある。

・講師は待遇が不安定であり、収入が一時的に減少する可能性が高い。

・採用側が「なぜ現職を辞めてまで講師になったのか」と疑問に思う可能性がある。

💡 面接時のポイント

➡ 「地元の教育環境で経験を積み、より貢献できる教員になりたい」という理由を明確にする。

➡ 講師経験を通じて得たことを具体的に説明し、正教諭への意欲を強調する。

3. どちらを選ぶべきか? 推奨戦略

結論として、「どちらが有利か」は、受験する自治体の状況や、現在の職をどれほど維持したいかによります。

以下の状況別に、最適な戦略を整理します。

(1)リスクを抑えつつ受験したい場合

➡ 現職教諭枠で受験するのが望ましい。  

- 受験に失敗しても、今の職を失わずに済む。  

- 即戦力を強調し、「地元で長く働く意思」を明確に伝える。  

- 事前に地元の教育方針や試験の傾向を徹底的に調査し、面接対策を万全にする。

(2)本気で地元に戻る覚悟があり、アピール材料を増やしたい場合

➡ いったん退職し、地元で講師として受験するのが有利。  

- 「すでに地元で働いている」という事実が、長期勤務の意思を証明できる。  

- 地域適応力をアピールでき、面接官の安心感につながる。  

- ただし、試験に落ちた場合のキャリアプランを慎重に考える必要がある。

4. 追加アドバイス

現職教諭枠で受験する場合

・試験前に、地元の学校や教育委員会と接点を作る(オープンスクール、ボランティア参加等)。

・教育方針の研究を徹底し、「どう貢献できるか」を具体的に語れるようにする。

・面接では「転職の理由」を明確にし、「この自治体で長く働く意志」をしっかり示す。

講師として受験する場合

・講師としての経験を最大限活かし、面接で「地域に馴染んでいる」ことをアピール。

・試験に落ちた場合のキャリアプランを慎重に考えた上で決断する。

まとめ

「現職教諭枠」と「講師として受験」のどちらがよいかは、リスクをどこまで許容できるかによります。

安全策を取るなら現職教諭枠、合格確率を上げるなら講師として受験が有力です。

どちらの道を選ぶにせよ、戦略的に準備し、面接官の視点を意識した受験対策を行うことが重要です。


レトリカ教採学院
河野正夫


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