予算執行における統制パターン
来期の予算に追われている方も多いであろうこの時期、ちょうど会計システム関連の仕事をしている中で、予算執行、支出の承認における統制のパターンについて学んだのでシェアします。
統制のパターン
予算執行時の統制には、以下の3つの主要なパターンがあります。
1. 都度承認(稟議)
支出やプロジェクトが発生するたびに、個別に承認を取る方法です。主に金額が大きい案件、重要なプロジェクト、契約締結を伴う支出に適用されます。
特徴: 統制が強く慎重に評価される一方で、承認に時間がかかり、業務スピードが犠牲になることがあります。
よく使われる支払い方法: 請求書払い、銀行振込、カード決済(高額取引)
2. 包括承認(稟議)
あらかじめ予算や範囲を包括的に承認する方法で、予測可能な支出や定期的な支出に適しています。例としては定期的な備品購入などです。
特徴: 統制は比較的緩やかですが、繰り返し同じ承認を得る非効率が解消され、業務のスピード感が保たれます。
よく使われる支払い方法: カード決済(定期支出)、口座振替(自動引き落とし)
3. 事後承認(稟議)
支出や業務が発生した後に承認を行う方法です。主に小額の経費精算や緊急時の支出に適用されます。交通費や宿泊費などが該当します。
特徴: 事前の承認を必要としないため迅速な対応が可能ですが、統制が弱く、不正や誤用のリスクがあるため、厳格な監査が求められます。
よく使われる支払い方法: 従業員の立て替え払い、現金払い、カード決済(個人)
追加施策
各統制パターンを効果的に運用するには、次のような施策を組み合わせることが重要です。
1. ルールの明確化
承認や決裁に関する基準を明確にすることで、不正や誤用を防ぎます。特に、包括承認や事後承認では、適用条件を明確にすることが不可欠です。
2. モニタリング
承認フローや支出の状況を継続的に監視し、不正を早期に発見することが目的です。特に事後承認の経費精算では、申請内容と証憑の一致を確認したり、支出が多い従業員の申請内容をチェックするツールを用いたりすることが必要です。
3. 自動化の推進
システムによる自動化で、統制による業務負荷を低減しつつ、入力ミスや不正の防止を図ります。具体例として次のようなものが考えられます。
・条件に応じて承認を自動化する
・OCR機能を持つ請求書受領・経費精算システムを導入し、自動で金額や振込先を入力する
・コーポレートカードを使い、明細を自動取得する
パターンの使い分け
どの統制パターンを用いるべきかは、主に次の要素で決まります。
金額や案件の重要度: 大きな金額や重要な案件は都度承認を行い、統制を強化します。小額で重要度の低い案件は、包括承認や経費精算に振り分けます。
予測可能性: 予測可能な定期支出は包括承認で効率化します。
以上です。