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ネガティブな業務に関する機能にはコストをかけず、少し面倒にしておくくらいでよい
最近お客さんから言われて意識したいなと思った考え方があったので、シェアします。
ネガティブな業務に関する機能にはコストをかけず、少し面倒にしておくくらいでよい
先日、製品の販売システムの「返品業務」に関する機能の仕様を決める機会がありました。現場の担当者は実務で存在する様々な返品のパターンを考慮し、効率的に業務が行えるように仕様を検討していました。
その結果、機能は肥大化・複雑化し、見積もりが大きくなってしまいました。その状況に対し、あるマネージャーの方が「返品は売上に繋がらないネガティブな業務であり、そんな機能にコストをかけるべきじゃない。むしろ少し不便なくらいにしておくことで、返品しなくて済むように努力するのではないか。」とおっしゃり、機能をバッサリ切り捨てて行きました。
メカニズムデザイン
このような考え方は、メカニズムデザインに基づいていると言えます。メカニズムデザインとは、実現したい目標が与えられたとき、みんながその目標ではなく自らの欲求を優先して行動したとしても、結果としてその目標が実現されるような仕組みを設計する学問です。
代表的な事例が、ロンドンで導入された交通渋滞緩和・大気汚染抑制のための混雑税(渋滞税)です。自動車が集中するエリアの、集中する時間帯の通行に対して課金を行うことで、代替ルートや他の移動手段の利用を促進しました。
システムによる2パターンの誘因
システムの仕様によってユーザの特定の行動を誘因するという考え方は、コンシューマ向けのシステムではよく使われています。具体例として、「退会申込」のページに中々辿り着けないようにする、もしくは退会は特定の時間のみ受け付けている電話でのみ可能とし、システム上ではできないようにする、といったものがあります。これは直接的な誘因と言えます。
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一方で、冒頭の例であげた事例は、社内のシステムの仕様によって、「従業員が顧客が企業にとって好ましい行動をとるよう誘因する」ことを誘因しているため、間接的な誘因と言えます。
おわにり
システムによって顧客の行動を直接的、間接的に誘因できること、逆に言うと様々なケースをカバーしてあげようと機能を増やすことは、ある意味でユーザを甘やかし本来減らすべき業務を推奨することになっているかもしれないことを意識すべきだと思いました。
以上です。