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コロナ禍で見えた新日本プロレスの課題
先日行われたのニュージャパンカップをロスインゴのEVIL が征した。決勝戦でロスインゴを裏切りバレットクラブに加入。その後の内藤哲也との2冠戦も征し、EVILがまさかの2冠王者になった。
誰も予想しなかったこの展開から自分が勝手に想像したことを記していきたい。
Evilは何故突然ヒールに転身したのか?
そこにはコロナ禍で外国人レスラーが来日できない事情があると推測されるが、ヒールとなったEvilが見せるなんとも先の見えない表情から、より根深い新日本プロレスの課題が見えてくる。
ここ数年の新日をみればトップヒールの役割は常に外国人が努めていた。
しかし、コロナの影響によりトップヒールが不在となった以上、新日は新たなヒールを作り出す必要があり、その役割を与えられたのがEvilである。
このように考えると、何故Evilがこうもあっさりと2冠王者になれたかということに納得がいく。
しかしEvilは二冠王者になったものの、内藤はおろか、その後の防衛戦で戦った高橋ヒロムにも、試合には勝利したものの存在感では敗北していた。
ここに新日が抱える課題がある。
つまり、国内トップの団体でありながら、外国人もしくは団体外のレスラーに頼らなければメインイベントでベビーフェイス側と同等に釣り合うヒールがいないのだ。
そこには日本のプロレススタイルにおいてメインイベントが務まるヒールを育てることが簡単ではない実情がある。
何故ならヒールといえどもレスラーは観客を納得させる試合を見せなければならず、それによりレスラーとしての評価が上がれば上がるほど観客はそのレスラーに感情移入してしまう。
これがプロレスの面白さでもあるのだが、
その結果、レスラーに実力と実績が伴うほど必然的にその存在は観客に肯定されていく。
そうなると本来のヒールとしての役割である憎まれ役ができなくなってしまい、存在感のあるレスラーほどいつの間にかベビーフェイス的なポジションに収まってしまうのだ。
これは日本のプロレスにおいてレスラーとしてのキャラクターとレスラー個人の人間性に明確な境界線が無く、その両方をレスラーのキャラクターとして観客が消費している点が大きく影響していると言える。
つまりレスラーとしてのキャラクターのみに焦点をあてて観戦するのではなく、観客はその虚構からレスラー個人の感情や思いを感じ取り試合を観戦をしているのだ。
これはプロレスの大きな魅力の一つであるが、ヒールを成立させる上では高い障害になっていると言える。
実力と実績を兼ね備えた存在感のあるレスラーがヒールで在り続けることはプロレスというジャンルの構造上極めて困難なのである。
以上に説明した理由により、新日にメインイベントを務めることができるヒールは不在であった。
そのために急遽その役割を与えられたのがEvilである。
Evilは新日が外国人レスラーに依存することで先送りしていた課題をコロナという問題により背負う形になったのだ。
つまりEvilはコロナ禍という特殊な状況において成立した期間限定のトップヒールである。
彼はコロナが収束するか、外国人レスラーが来日可能な状況になるまでの間に自らのヒールとしての存在を確立しなければならない。
だがしかし今現在彼にそのポジションに相応しい実力と実績が伴っているとは言えない。
おそらくEvil自身がそんな状況を理解しているが上に、彼が抱え込んた重責による不安や葛藤が、先の見えない表情となっめ現れてしまっているのであろう。
Evilガンバレ!!!