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2011青森山田高校<秋>
「ラスト」
今回の青森への旅は、とにかく強行スケジュールだったが、その分、滞在、12時間のわりには濃い時間を過ごすことができた。
なんと言っても、青森山田高校の演技会を見ることができたのは大きな収穫だった。
今年は、30本の演技会があったそうで、このところは連日。
ジャパンを控えている選手も多く、落ち着いて練習したいという気持ちもあるだろうに、よくやっているなあ、と感心するばかり。
でも、落ち着いて練習する時間はない分、どこのチームよりも人前で演技をすること、通しをすることはやってきている自分たちに、自信をもってジャパンに向かってほしい。
●植野 洵
ユースチャンピオンシップ5位の実績で、ジャパンに出場する植野だが、正直ユースでの演技は、「そこまで?」という印象があった。4種目の中でくずれた種目のあった選手が多いなか、大きなミスなく4種目まとめた結果、こんなに上にいた? という感じは正直、していた。
が、今回見て驚いた。
すごく、よくなっていたのだ。これならジャパンに出ていてもおかしくない! そう思えるようになっていた。演技会でも、個人演技のトップバッターを務め、子ども達からは「ヒーロー」を見るような目で見つめられていた植野。まだ、高校1年生ゆえの粗削りさはあるが、かなりこの先が期待できそうな選手だ。スピーディーな演技、手具操作にぜひ注目してもらいたい。
●永井直也
演技会を見ていた小学生の子どもたちも、永井のクラブ「秋桜」のときは、ちゃんとしいんとなっていた。彼はやはり自分の表現で空気を変えることができる選手だ。
すこしばかり、体つきもしっかりしてきて、ジュニア時代ほど華奢には見えなくなった。いいあんばいに重みが出れば、ますます表現にも深さが出てきそうで楽しみな選手だ。
●平野泰新
団体、個人兼任でかなり大変ではないかと思うが、いつ見てもきびきびと反応し、返事をしている好青年だ。彼はとにかくまじめにやっていることが演技を見てもよくわかる。1年前の全日本では、個人、団体ともちょっと残念な結果になってしまった悔しさを、彼はきっと忘れていない。そして、今年は「1年前の自分」に勝つつもりで必死にやっていると思う。その思いがかなうといい。昨年よりぐっと身長も伸びて、フロアの中でとても大きく見えるようになってきた彼には、このクールでかっこいい衣装がよく似合っていた。
●青森山田高校団体
演技会の中盤すぎに、子ども達にトランポリンを使って宙返り体験させるコーナーがある。巧みな補助で、ほとんどの子が、宙返りを体験できるのだが、このコーナーは子ども達に宙返り体験させるだけではなく、その直後に出番のある青森山田高校団体のアップ時間でもあるのだ。
横では、小学生がわーわートランポリンで盛り上がっている横のわずかなスペースでアップをする青森山田高校。決して、いい環境とは言えないが、それでも本番に合わせるという経験を彼らは十分してきている。いわば、それが青森山田高校の強みだ。
演技会のあと、青森大学の練習が始まる夕方までの時間、青森山田高校は練習をしていた。
翌日ももう1本演技会があり、その次の日にはもう千葉に向かって出発する。ジャパンを控えているチームの中では、かなり厳しいスケジュールでやっているチームだろうが、だからこそ、おめおめと失敗したりはしない! そんな気概は感じられた。
このメンバーで演技できるのは、おそらくこれが最後。
いろいろなことがあったからこそ、「ここでやってきてよかった」と思える演技をしてほしい。そんな演技を見せてほしい。
大丈夫。彼らはきっとやってくれる。
自分が青森山田高校に入ってきたころの気持ちを思い出して、気持ちを1つにすればきっとできる。
幕張で、「青森の魂」のこもったあの津軽三味線の曲で。
そのチームのラストステージを飾ってみせてほしい。
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