2010全日本選手権~ジュニア(女子②)
☆七尾真結(秋田RG愛好会)
全日本ジュニアでは惜しくも準優勝。しかし、得意のクラブでは疾走感のあるすばらしい演技を見せ、七尾らしい演技は存分に見せることができた。試合後に話を聞く機会があったが、「とにかく踊ることが大好き!」と言い切ることができ、演技を見て想像していたとおりに、自分の意思をしっかりもった選手という印象だった。今年は、2月に行われたアジアジュニア大会に個人代表選手として出場も果たし、大きく飛躍した七尾。3年後、7年後の演技が見てみたいと思わせる選手なので、まずは初のオールジャパン、のびのびと自分らしく踊ってほしい。
☆加畑 碧(町田RG)
恵まれたプロポーションに、高い身体能力と「恵まれた選手」であることは間違いないのだが、彼女は彼女なりに苦労している。そう感じることの多い1年だった。今年は、8月のユースオリンピックにジュニア団体のメンバーとして出場したが、このメンバー選考のための試技が、世界選手権代表選考のコントロールシリーズの場で行われたため、私は何回も見ている。ボーダーライン上にいた彼女は、途中から入った慣れない団体演技をこなしながら、いつも緊張した表情で、それでも、はつらつとした作品の雰囲気を壊さないために、なんとか必死に笑おうとしていた。今まで、どうしてもそういった必死さは見えにくい印象だった彼女が…。それは新鮮な驚きだった。そして、その経験は、個人の演技も着実に変えた。全日本ジュニアでは、不安定さはありつつも必死にもちこたえた演技で総合4位。どうしても淡白に見えていた選手が、しがみつくことを知ったとき、大きく変われるに違いない。まさに「これから!」におおいに期待したい選手だ。
☆鈴木志帆(サンシャインRG)
反射神経、運動神経、そして根性。この3拍子がそろった野性味あふれる選手だ。アジアジュニア選手権、ユースオリンピックと、ジュニア団体チームの一員として頑張っていたが、私が見た演技の中で、彼女がミスをしていることはほとんどなかった。さらに、周囲でなにかミスが起きたときの対処の早さがすばらしい! ミスをミスにしない、ミスを大きくしない、その能力にたけた選手だった。地方に散ったメンバーのため、集まって練習する時間が少ない。そんな団体にとって彼女の存在はどれほど大きかったか、と思う。
その団体に懸けてきたため、個人の練習もクラブでの団体の練習も不十分な年だっただろうに、どちらでも全日本ジュニアに出場して、個人では8位。「練習が十分じゃないから無理」とあきらめることのない根性があってこその成績に違いない。オールジャパンに向けては、今までよりは個人の練習に時間がとれるだろう。本番での演技が楽しみだ。
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