虫グルメフェスVol.0 東京駅スクエアゼロ
訪れた日:2020年11月28日
伝統食としての面を持ちながらも、近い将来に起こりうる食糧難への解決策としてたびたび注目を浴びる昆虫食は、個体における可食部の多いことや飼育によって発生する温室効果ガスの排出量の少なさから「未来のタンパク源」といった見方もされています。
そんな昆虫食について、メリットのみならず実際に抱かれているイメージや現状にも向き合ったうえで「食材としての美味しさや面白さ」などにこだわって提供している店舗、活動を続けている方々による発信が東京駅構内にて行われていました。
場所は東京駅、グランスタ東京の改札内にあるイベントスペース「スクエアゼロ」、JRの改札内にあるため乗換の際に立ち寄る場合は無料、外から参加する方やメトロを利用する場合は改札で入場券(140円)を購入する必要があります。
各テナントでは現金は利用できないため、交通系ICカードに予めお金を入れておくか、クレジットカードがあると良いです。どの店舗の商品も大体700円となっており、入口で一枚700円の券を購入する方法もあります。
鳥獣虫居酒屋・米とサーカス(高田馬場、錦糸町、渋谷に店舗を持つ。店舗公式サイト) によるドリンクメニューを飲みました。居酒屋ということもありアルコールメニューがあるのが印象的です。ジビエ料理を提供しているそうで鹿肉にコオロギを混ぜ込んだハンバーグ等も販売していました。
写真上、スズメバチレモネード(700円)
レモネードとなる蜂蜜やレモンと共に漬けられたオオスズメバチがトッピングされています。このオオスズメバチは丸ごと食べることができソフトシェルクラブのような食感に甘みのある白身魚のような味わいがありました。日本に居るハチ類の中で一番強い毒を持ち、1日に100キロメートルを移動することもできるスズメバチは、焼酎や蜂蜜に漬けこんで滋養強壮としても利用されてきました。
写真下、虫薬膳酒(冬虫夏草/シアワーム) ソーダ割(700円)
ソーダ割かストレートを選ぶことができます。
冬虫夏草とは、昆虫の幼虫等に寄生しその養分を利用して育つきのこの種類で、古くから中国やチベットでは漢方や薬膳料理にも使われています。ハンドクリームなどの保湿成分にも利用されるシアバターで有名な、シアの葉を食べて育った蛾の幼虫の虫草が漬け込まれていました。
FUTURENAUT コラボかずき&うつせみテクノ
高崎経済大学ベンチャー「FUTURENAUT」、昆虫食活動家のかずきさん、東京農業大学学生ベンチャーの「うつせみテクノ」という大学生同志のコラボで販売されているコーナーです。コオロギパウダー入りお汁粉+抹茶ゴーフレット(700円)を食べました。FUTURENAUTさんのゴーフレットは通販やぐんま昆虫の森のショップでも購入ことができ、昆虫食の見た目や食感に抵抗がある人にも食べやすくおすすめです。
コラボしている昆虫食活動家のかずきさんはコオロギコーヒーをプロデュースしています。香ばしいコオロギの香りがコーヒーと良くあっていて美味しいです。こちらも虫グルメフェス内や、通販で購入することが可能です。
うつせみテクノさんは食品ロスに注目し、それらを活用した食用昆虫を作るプロジェクト、昆虫を生かしたプログラミング、「道の駅かぞわたらせ」内のショップで昆虫食のコーナーを出すなど様々な活動を行っています。虫グルメフェスには、ここで売られている商品を製造・販売している「合同会社TAKEO」ブースもあり、コオロギパウダー入りのパスタスナックやタガメサイダー、昆虫キャンディなどが販売されています。国産こおろぎ食べ比べなど姿スナックの種類も豊富ながら昆虫の姿のまま食べるには抵抗がある人向けのラインナップもとても充実しています。タガメサイダーは洋梨のようなフルーティな香りの炭酸飲料で、この香りはオスのタガメの繁殖期のフェロモンに由来しているそうです。浅草にある実店舗ではカイコの糞からできたお茶(640円)を飲んだりこおろぎアイスもなか(480円)を食べることもできます。
町おこしとして九州にて昆虫食の調理や冷凍食用昆虫の流通を行なっているはまる食品の、サゴワームとオオスズメバチ幼虫のバターソテー(700円)も食べました。サゴワームとはヤシオオオサゾウムシの幼虫で、熱帯域に分布しています。東南アジアではヤシの木を枯死に至らしめる害虫として深刻な問題となっており、日本でも外来種として宮崎県など西日本の温暖な地域に生息してしまっているようです。トロのような甘みのある脂は不飽和脂肪酸が豊富に含まれていて、食感は白子や蒸し牡蠣が好きな人ならば美味しく食べられると思います。
オフィシャルキッチンでは、昆虫料理研究家、NPO法人昆虫食普及ネットワーク理事長内山昭一さんの監修によるフードメニュー、バグズキッチンお茶漬け(700円)を食べました。上に乗っているヨーロッパイエコオロギのトッピングは無料で増量できます。(写真は増量したものです。なお甲殻類アレルギーのある方は昆虫を食べることでアレルギー反応が出る場合があるそうなので注意して下さい。)
NPO法人食用昆虫科学研究会の理事長で、「おいしい昆虫記」の著者でもある佐伯 真二郎さん、家で飼っている爬虫類のエサとして虫を300匹飼っていて自らも食べるという荒川真衣さんによるトークセッションでは、ラオスでの養殖事業や栄養教育に関する現状についてのお話を聴くことができました。
虫グルメフェスは明日が最終日となっており、11月29日11時〜19時までの開催です。日頃駆除されたり嫌われてしまうことも多い虫たちの、新しくて美味しい一面を知ることが出来るイベントでした。
虫グルメフェス公式サイト
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