映画『ぼくたちは見た ―ガザ・サムニ家の子どもたち』レビュー
第19回難民映画祭では、困難を生き抜く難民の力強さに光をあてた6作品(日本初公開4作品を含む)をオンラインと劇場で公開。
第19回難民映画祭・広報サポーター星有希が、上映される『ぼくたちは見た ―ガザ・サムニ家の子どもたち』について紹介します!
あらすじ
1400人という多くの犠牲を出した、2008年から09年にかけてのイスラエル軍によるパレスチナ・ガザ地区への攻撃。ガザ南部の農業地帯ゼイトゥーンに住むサムニ家の子どもたちは、一族が一度に29人も殺されるという、過酷な事件を経験していた。古居みずえのカメラは、家族を失いながらも、懸命に生きる子どもたちの生活を静かに見守り、彼らの心の傷と変化を写し出す。子供たちの証言から垣間見られたもの、それは“生きる力”“人間力”だった。
今、一番見るべき映画
私は広報サポーターとして活動するにあたり、まず6作品のあらすじを読んだのですが……この映画のあらすじは、数回読み返しました。
「1400人という多くの犠牲」
「一族が一度に29人も殺される」
十分にひどすぎる話です。
それなのに今、もっとひどいことが起きています。
正直、私はこれまで、パレスチナで何が起こっているのか、詳しく知らないまま生きてきてしまいました。でもここ一年の出来事は、本当にひどすぎる、今の時代にこんなことがあってよいのかと、日々感じていました。この映画を見ることで、少しでもパレスチナのことを、私なりに理解したいと思いました。
大切に育てられた子どもたち
映画の冒頭、ある有名な曲が挿入歌として流れます。私は映画通でも音楽通でもないのですが、その選曲によって制作者が何を伝えたかったのかは、瞬時にわかった気がしました。
映画全体を通して、子どもたちの様子を見ていて感じたのは「みんな愛されて育ったんだろうな」ということです。信じられないような残酷な経験をしながらも、時折見せる可愛らしい笑顔や、子どもとは思えないしっかりした話ぶり。きっとそれまで、親からたくさん抱きしめられて、たくさんおしゃべりをして……愛情いっぱいに育てられたのだろうと思います。
だからこそ、そんなかけがえのない存在を失った子どもたちの心の穴の大きさは、計り知れないと思いました。
子どもたちは、何かを変えたかった
その後私は広報サポーターとして、この映画の監督である古居みずえさんに、インタビューする機会をいただきました。「映画監督」と聞くとコワモテなイメージが勝手にありましたが、やわらかな、やさしい雰囲気の方でした。
古居さんは、なぜ映画の子どもたちが、思い出すのもつらい経験を忘れまいとし、カメラに向かって語るのかというと「自分たちの経験したことは、この世界にあってはならないことであるとわかっていて、忘れず、伝えることで、何かを変えたかったのではないか」と語っていました。
誰かがこの映画を見て、何か心が動いたならば、それは子どもたちが「何かを変えた」ことになるはずです。この難民映画祭で、そんな変化が一つでも多く生まれたらいいな、と思っています。
参加方法
⚫︎オンラインで参加
※外部サイト(Peatix)へ移動します。
広報サポーター 星有希