背筋群の解剖:最長筋・腸肋筋・棘筋(起立筋表層繊維)
【最長筋】
■起始部
・頭最長筋:仙骨・腸骨稜・腰椎の棘突起・下部胸郭の横突起
・頸最長筋:T1~T6の横突起
・胸最長筋:T1~T3の横突起、C4~C7の横突起と関節突起
■停止部
・頭最長筋:側頭骨の乳様突起
・頸最長筋:C2~C5の横突起
・胸最長筋:第2~第12肋骨、腰椎の肋骨突起、胸椎の横突起
■作用
・両側が収縮すると脊柱を伸展させる
・片側が収縮すると脊柱を同側に側屈させる
■神経支配
第1頸神経~第5腰神経の各後枝の外側枝
【腸肋筋】
■起始部
・頸腸肋筋:第3~第7肋骨
・胸腸肋筋:第7~第12肋骨
・腰腸肋筋:仙骨・腸骨稜・胸腰筋膜の浅葉
■停止部
・頸腸肋筋:第4~第6頸椎の横突起
・胸腸肋筋:第1~第6肋骨
・腰腸肋筋:第6~第12肋骨、胸腰筋膜の深葉、上位腰椎の横突起
■作用
・両側が収縮すると脊柱を伸展させる
・片側が収縮すると脊柱を同側に側屈させる
■神経支配
第8頸神経~第1腰神経の各後枝の外側枝
【棘筋】
■起始部
・頸棘筋:T1~T2胸椎棘突起、C5~C7頸椎棘突起
・胸棘筋:T10~T12胸椎棘突起、L1~L3腰椎棘突起
■停止部
・頸棘筋:C2~C4の棘突起
・胸棘筋:T2~T8の棘突起
■作用
・両側が収縮すると頸椎と胸椎を伸展させる
・片側が収集すると頸椎と胸椎を同側に側屈させる
■神経支配
脊髄神経の後枝
■ワンポイント解説
脊柱起立筋群をまとめてみると
★表層繊維
├腸肋筋
├最長筋
└棘筋
★中層繊維
├回旋筋
├多裂筋
└半棘筋
★深層繊維
├棘間筋
├横突間筋
└肋骨挙筋
の3層に分類され、それぞれの役割が違っています。
起立筋表層繊維である最長筋や腸肋筋は、発生学的にみると、魚類や爬虫類においては、背骨をくねらせ、推進力に変えるための原動力として働いていた筋肉であり、人間においても側屈動作において強く働く筋肉となっています。
これらの表層筋は、その起始部と停止部の位置から、椎間関節の関節中心軸の制御機能が低く、脊柱安定化筋としての機能はそれほど高くないとされます。
そのため、脊柱を安定させる場合は、起立筋の中層繊維と深層繊維を中心に鍛え、関節中心軸の制御機構を高めていくことが必須になります。
起始部・停止部が分かると、関節の安定化に働いているか?働いていないか?などある程度イメージが付くようになります。
脊柱起立筋群は深層~表層まで、何層にも被さりながら配置されているため、それぞれを分けて考えるのは面倒かもしれませんが、その機能には大いに違いがあるので、それぞれをしっかりと理解していくことがコンディショニングにおいては大事になります。
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