一介の理学系工学者

理学分野でエンジニアリングをしています。メモを残して誰かの役に、また私の役に立てることを願ってNoteをつけてみます。

一介の理学系工学者

理学分野でエンジニアリングをしています。メモを残して誰かの役に、また私の役に立てることを願ってNoteをつけてみます。

最近の記事

恒温終端による受信電力校正

 システム雑音温度を計測したりするときにノイズソースなどを用いる。ノイズソースにはENR(Excess Noise Ratio)として標準温度に対してどれくらい高いかをdBで示している。 ノイズが欲しいだけなら熱雑音を使えばいい。物理温度T (K)で帯域B (Hz) の熱雑音の電力P (W) はP = kTBだ。終端を温めるだけということでとても簡易に温度の校正が可能になるはずだ。 ここでわれわれも90℃に温めた校正信号源を作ることにした。 課題は ・同軸ケーブルでつな

    • 組み込み反射係数をSパラメータで表す

      反射するものが連なったデバイスの反射係数は簡単に求められそうだが意外と検索すると難しい。私がGoogle検索したキーワードは多段反射、複数の反射、2段反射、反射係数だ。 英語だとReflection Coefficient for Embedded Two-Portsなどと検索すると一発でたどり着く。 Youtubeでは以下のものがおすすめだ。 基本知識: Sパラメータを以下のようになっているとする。以下のb2の式は 後ほど使います。 2つの反射要素を持つ反射係数:

      • アクティブディレクティビティって何?

        私はMini-Circuitsの部品を頻繁に使っている。増幅器、フィルタ、デバイダ、ミキサなどいろいろだ。 Mini-Circuitsの増幅器のデータシートでよくわからないのがある。例えば https://www.minicircuits.com/pdfs/ZFL-1000.pdf 等を見て頂ければと思うのだが、このDIRECTIVITY (dB) とある。 ググってみるとMini-circuitsのサイトに とか書いてある。定義と書いてあるが実は不明だ。数式で書いて

        • バラン(4. 暗中模索編/1stシーズン終了)

          これまでは、マイクロストリップラインに同軸コネクタを載せていた。 PCBの誘電体の厚みは1mmで、裏側にはGNDプレンがべったりなっている。またノイズ対策として、シグナル線に沿って距離2mm離して表面にもベタGNDが塗られてる。 「波長3mの信号で伝送線路長1cm程度は集中定数の世界でしょ」と思うのだが、もはやGNDが気になる始末。 Non-PCB型 というわけでマイクロストリップラインをやめて直にはんだ付けすることにした。 一見バランに見えないが、差動線路部分を最短

          バラン(3. 差動ライン編)

          前回の同軸を2本使った差動伝送がダメなのかと思い、単純な導線でつなげることにした。写真を撮り忘れたのでちょっと合成しているが、2つのバランを作って、差動伝送路だけ単純に接続した。 そして同軸側をネットアナに接続してS11とS21を計測した。 結果は とまたしても100MHz超で性能が全然でない。S11は4dBになる始末。反射しまくりで帯域内特性など問題がありすぎる。 全く分からない、で終わるわけにいかないので別の原因の仮説を立てた。 マイクロストリップラインが悪いのだと

          バラン(3. 差動ライン編)

          バラン(2. 差動同軸伝送ポート編)

          バラン用の基板に3つの同軸コネクタをハンダ付けした。 左側が不平衡信号用で、右側の2つが平衡信号用だ。平衡信号側も同軸にしている。このサイトを参考にした。 同軸を使うことで差動信号が必要なアンテナとバランを隔離することもできるはずだ。 そしてネットアナで計測してみた。差動の同軸をSMAのPPアダプタで接続して、バランの同軸側でVNAと接続する。 計測結果が以下のようになる。 ネットアナの図は見にくくて見せられるものではないのを見せてるのが、申し訳ない限りである。S2

          バラン(2. 差動同軸伝送ポート編)

          バラン(1.製造編)

          人生で初めてバランを作った。データシート通りの特性がでない。格闘というほどでもないが思考錯誤を記録してみる。 バラン バランというのは BALanced to UNbalanced(Balun)変換のことで、ダイポールのような平衡信号を同軸ケーブルの不平衡信号に変換する。 購入したバランはMini circuits TX1-1+だ。Core&Wireと言われるタイプのものだ。とても小さい。 内部の回路と接続方法は次のようになってる。 TX1-1はSMTになっていて、

          バラン(1.製造編)