第110回エスペラント大会プレ企画第3回は2023年5月27日(土)19時から行われ、34人(オンライン参加が30人、中継会場のエスペラント・ビーガンカフェSOJOから4人)が参加。前半は本誌編集部員でもある臼井裕之さん、後半はゲーム制作者で、『ことのはアムリラート』をより言語学習に特化させた『ことのはレルナード』を開発中のJ-MENTさんが発表した。司会進行は黒薔薇アリザさん。
「エスペラントはザメンホフの仮想言語」 臼井裕之さん
「AIとエスペラントの可能性は利用者次第」 J-MENTさん
Juliamistojを巻き込むためには
お二人の話を受け、これからの時代のエスペラントの売り出し方、バーチャルな可能性、そして新規の人を受け入れる日本大会のあり方などについて、参加者から活発な議論が出た。
臼井さんの話には、「エスペラントは本当にファンタジーやバーチャルなのか?」、「ザメンホフの理想の一部は現実となっているのだから、もはやファンタジーではない」という意見も出た一方、エスペラント広報のための斬新な切り口として称賛する参加者もいた。
今回のプレ企画では、当初臼井さんひとりがAIについて話す予定だったが、専門家でもない臼井さんが、ニワカ知識で2時間話すことに不安を覚えた黒薔薇さんが、第2回プレ企画でも秀逸なコメントをいただいたJ-MENTさんに出演を依頼したのだという。
J-MENTさんの「歴史や理念からエスペラントに入る真面目な人たちが多いのもわかるが、裾野を広げるためには、もっと“エンタメとしてのエスペラント”を考えてもいい」という話には、一同、耳が痛く思い当たる節があった。参加者からは、「エスペラント大会を内輪向けの企画で終わらせず、ゲームをきっかけに学習を深める人たちの橋渡しになれる大会づくりをしたい」との意見も出た。
ちなみに、『ことのはレルナード』開発支援のクラウドファンディングは、6月12日に終了し、総額1050万2400円が寄せられ、達成率350%という大成功を収めた。9日には、ノーラ役の声優安齋由香里さんと、講師役の木村護郎クリストフさんによるYouTube対談イベントも配信された。
(https://www.youtube.com/live/M5pOHxHqD-I?si=VcO2ew2OyeDxFwFQ)
最後に、当日の参加者であり、7月29日(土)に予定されている第4回プレ企画発表者である京都大学助教の都留俊太郎さんと、天理大学講師の須永哲思さんから、次回に向けた告知があった。
「日本大会プレ企画」も残すところあと2回となったが、今後も内外のゲストスピーカーを交えて、忌憚なく討論する場が望まれる。
(RO誌2023年7月号p.2-3から)