わたしの創った異世界ゲーム『ことのはアムリラート』【J-MENT】
SukeraSparo、2017年、3800円+税
ゲームデザイナーが迷い込んだ異世界
——異世界へと飛ばされてしまった女子高生が、手助けをしてくれる女子中学生と仲良くなる物語(ただし言葉は通じない)。
そんなお話の執筆依頼がやって来たのは、かれこれ4年近く前で、当時の私は以下の理由からお断りするつもりでおりました。
01.ゼロから異世界語を作るのは、無理。
02.意味不明な記号の羅列では読めない。
03.物語の読者がストレスしか覚えない。
が、ただ断るのも格好がつかないと思い、記憶の片隅から名前だけは知っていた言語——“エスペラント”を引っ張り出して、最初の打ち合わせに臨みました。
エスペラントを選んだ理由は簡単です。
A.日本では、ほとんど知る人が居ない。
B.100年以上の歴史があり、辞書も存在。
C.[噂]英語よりも易しく、覚えやすい。
私は、「これなら今回の案件にピッタリかもしれませんが、さすがに採用は難しいですよね。はい、ではまたの機会に……」と言って辞退させていただく予定でした。それなのに、メーカーのプロデューサーが「じゃあ、それ(エスペラント)で!」とか軽く認可を出してくれたおかげもあって、『根底にエスペラントを植えたゲーム』が誕生する流れが生まれてしまったのです。
案が通ってしまい、「できません」とは言えなくなった私は、すぐに早稲田にある日本エスペラント協会へ足を運び、棚から選んだ辞書やら教本やらを買い込みました。
もちろん、それらを読んですぐに理解ができて使いこなせるほど甘いモノではなく。
私は何度か早稲田へ通い、当時のJEIの事務局長(福田さん)から、エスペラントの通信講座や学習書の執筆などをされている藤巻謙一さんをご紹介いただき、作品内の『異世界語の監修』をお願いできることとなりました(ありがたや、ありがたや)。
——これで、あとは書いて作るだけ!
そんな風に思えた時期もありましたが、世の中はうまく行かないことの方が多く。
実際のところ、本誌ご愛読の皆様を前にお伝えできないような紆余曲折を経て——
2017年8月25日、ことのはアムリラート。
2019年3月15日、いつかのメモラージョ。
そして同年6月13日には、アムリラートの英語版——The Expression Amrilatoが世界規模の市場で発売されるまでに至り、さらには中国語(繁体字/簡体字)版までもリリースされる予定があるため、まだまだ話題は続きそうです*。
それでは最後に、皆様へのお願いです。
もし、海の向こうでエスペラントを嗜むお知り合いがいらっしゃるようでしたら、軽く宣伝していただけないでしょうか? “Vi scias Amrilato-n, ĉu ne?” ……と。
(要約/resumo)J-MENT kiel desegnisto de komputilaj ludoj projektis la ludon “Kotonoha Amrilato”. Oferto venis, ke li verku ludon en kiu du junulinoj en “la alia mondo” travivas la mondon, kaj decidis utiligi Esperanton la sola rimedo interkomuniki. Jam aperis la anglalingva versio “The Expression Amrilato”.
(月刊誌『エスペラント La Revuo Orienta』2019年10月号 p.23から)
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