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私の出した本『彼女たちの戦争 嵐の中のささやきよ!』【小林 エリカ】
![](https://assets.st-note.com/img/1721476139527-vBx2scrIBI.jpg?width=1200)
小林エリカ著、筑摩書房、2024年、128p
1870円(税込)、ISBN 978-4-480-81577-4
この度、『彼女たちの戦争 嵐の中のささやきよ!』(筑摩書房)という本を出版しました。リーゼ・マイトナー、伊藤野枝、メイ・サートン、ヴァージニア・ウルフ、マルゴー・フランクとアンネ・フランク姉妹、湯浅年子⋯⋯。科学者、詩人、活動家、作家、スパイ、彫刻家、「歴史上」、おおく不当に不遇であった彼女たちの横顔を拾い上げ、未来へとつないでいく、やさしくたけだけしい闘いの記録でもある、本です。
彼女たちのうちのひとり、ヴェルダ・マーヨ。エスペラント語で、「緑の五月」。又は緑川英子。
その筆名をもってして中国へ渡り、世界へ向けて、書き、語り、戦った、長谷川テルのことも書かせていただきました。
ご想像のとおり、この本の副題である「嵐の中のささやきよ!」は、彼女の“Flustr’ el Uragano”『嵐の中のささやき』(高杉一郎訳)に、敬意と想いを寄せたタイトルになります。
やがてかならずそのときは来る
みどりの大陸のいたるところ
五月の花々が
いままでとはことなった新鮮さをもってほほえむときが
花々はいたずらに血を吸いあげているのではない
一九三九年五月
重慶にて
この今もなお、アフガニスタン、ウクライナ、ガザ、と戦争が続いています。日本の政府もまた軍備を増強しようとしているこの状況の中で、私というひとりの人間はここでいったいどのようなことができるのだろうと、ときには絶望しそうになることもあります。
けれど、そんなときにもなお、エスペラントは、彼女の書き記した『嵐の中のささやき』は、彼女の生きざまは、大きな希望です。
ときに、嵐の音ばかりが大きく聞こえるかもしれません。しかしその中にあるささやきに耳を傾けたいと、そこにある声を聞きたいと、私はこの本を書きました。
かつて戦争の中を生きた、生きざるをえなかった、彼女、彼女たち、ひとりひとりが、どうやってそこに抗い、呑まれ、ときにはそのどちらでもなく、生きて死んでいったのか。私は、それを知りたい。
どうか、ひとりでも多くの方に、彼女の、彼女たちのささやきが、届きますように。
そして、わたしが、わたしたちが、ささやきをはじめられるようにと願っています。
(要約/resumo)Kobayashi Erika eldonis februare “Iliaj Militoj―Ho, Flustr’ el Uragano”. Ĝi prezentas multe da virinaj pioniroj, precipe Hasegawa Teru (Verda Majo), kiuj luktis kun la maljustecoj kaj la malfacilaĵoj de la socio.
(月刊誌『エスペラント La Revuo Orienta』2024年5月号 p.7から一部修正)
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左上写真:長谷川テル(ヴェルダ・マーヨ/緑川英子)と中国人の夫・劉仁