キラキラドキドキ、ギスギスドロドロ…全部青春だ!! It'sMyGO!!!!!
MyGO!!!!!に託す1ファンの勝手な想い。
個人的に、バンドリをRE:STARTしてくれる期待を背負って新シリーズが始まった”BanG Dream! It’s MyGO!!!!!”
ただ、それは個人的ではなかったのかもしれない。
MyGO!!!!!の顔を隠したライブ活動が始まった頃からも、アニメ制作発表会を経ても、始まったその日まで期待半分不安半分であった。
それは3期以降のアニメの出来が芳しくないと個人的に感じていたからである。
ファンの方向しか向いていなく、悪いことではないのだが新しい風が吹いていないのだ。
FILMLIVE2ndは音響や演出も素晴らしく良い出来ではあったがあくまでもファン向けの作品だ。
その他、Roselia劇場版2部作、ぽっぴんどりーむ等の劇場版作品はあったが同社のレヴュースタァライトのような単体で殴れるような目新しさはなく、ましてやRoselia劇場版の話の中身はほぼゲームで見たものである。
勿論それを楽しみにしているファンも多いだろうが、新たなファンを獲得できるものではなかったし、ゲームストーリーをなぞったRoselia劇場版は個人的には退屈であり、全く新しいものが見たかったのが正直なところだ。
OVA作品のMorfonicationも非常に良いのだが、ゲームでの彼女たちを知らないと感情移入しにくい構成だ。
これだけのアニメ制作を続けてくると新作と言われても期待は出来るかと言われたら難しいし、バンドリアニメの新作という情報露出に対する世間の反応の数は正直だろうなというのが見えてくる…
ただ、監督は柿本さんだと言うし(総監督ではない)「ここが舞台だ愛城華恋!」と言わんばかりの力の入れようは感じなくはないというのが放送前の気持ち。
だから全くバンドリを見てない人、しばらくバンドリを見てなかった人、ずっとバンドリを見ている人すべてが楽しめる作品であるといいなと願っていた。
放送直前になって、原案・脚本の綾奈ゆにこ氏がMyGOアニメについて、予習は要らないと呟いたことには正直驚いたが、制作陣からは本当に本気でバンドリを知らない人にも見てほしいと伝わってきた。
6月末から9月半ばまでの3ヶ月弱、私はMyGOアニメに”勝手な”期待を寄せ、どっぷり浸かることとなった。
余談
勝手な期待―
それは最盛期のバンドリの賑わいを取り戻してほしいと思う、私個人の勝手な想いでもある。
バンドリ1期からの武道館ライブ、アニメの出来・評価については置いておくがガルパリリースを見据えたところともあって、心配だった客入りは武道館は平日にも関わらず大入り(満員だったかどうかは定かではないが)で1ファンながら物凄く嬉しかったし、楽しかった記憶がある。
※これは個人的な話だがあのとき知り合いのミルキアン(※ミルキィホームズのファンのこと)が駆けつけてくれたことは非常に頼もしく嬉しかった。
そしてガルパリリースによってバンドリは一時大盛りあがりを見せるのだが…様々な要因があり、正直今はその勢いを失っているのが現状だ。
ライブ会場に行けば多くの人はいるが、一時期の勢いというか熱気みたいなものを感じることは出来ず、盛り上がり反面、人が離れていってしまったことにどこか侘しい気持ちもあった。
―話を戻そう。
MyGO!!!!!3話まで始まってみて。
予習が要らない。これは確かだった。
主人公、これを高松燈とするか千早愛音とするかが難しいところだが、私はW主人公だと思っている。
彼女たちを起点にすることで視聴者に過去のアニメやゲームの知識は全く要らないようにしているのだ。
二人はバンドリ既存のバンドをほぼ知らない。
キャラと視聴者の目線を合わせることで何一つ予備知識を持つことなくこのアニメの世界に入っていける作りになされていた。
主人公が知らないことを視聴者は知っている必要はない、これから一緒に知るのだから。
ただ…この物語はとあるバンド解散から始まった。
令和版:尾崎豊こと「高松燈」という少女。
人と同じように泣けないことに悩み、人と同じように涙するほど大事なものが欲しいと願う一人の少女。
彼女の物語はその悩みに直面し、それを気付き一緒に見つけてくれた少女・豊川祥子との別れから始まった。
尾崎豊の歌唱同様、心の叫びに似ていると感じる高松燈の詞。
実際物語が進むと、登場人物一人一人、高松燈の詞がぶっ刺さりまくって「自分のことだと思った」と吐露している。
皆にも大人になってみればなんてことない悩みだったなと思うことも、思春期の時は生死を考えるぐらい深刻に悩んだことはないだろうか。
本アニメの登場人物を指して、たかがバンドごときで…と揶揄するネットのつぶやきも見た。
だがその悩みは決してくだらないことではなく、時が夢の形を変えてくれたからそう思うようになったからであって、今を生きる彼女たちは本当に真剣なのだ。
人と違うからこそとでもいうのか、そんな天才的な感性を持った作詞者でもありボーカリストである高松燈の才能を、偶然な出会いから見出した豊川祥子。
だが、彼女たちのバンドは終わった。続くことがなかった。出来なかったのだ。
燈が大事なもの、バンドを見つけたと気付いた時に、もう燈のそばに祥子はいなかった。
イマドキ女の子、「千早愛音」との出会い。
物語において、不快ではない人に好かれる主人公を置くというのは簡単なようで非常に難しい。
目立ちたがり屋で外面よく取り繕って、言わなくていいことをポロっと言うし図太い…ここだけ見て誰が好きになるだこんな女の子って感じだが…
MyGO!!!!!の視聴を勧めた友人にもこんなことをはっきり言われた。
「彼女(ら)には他の作品の登場人物に感じるような矜持がない」
どんな作品にも登場人物には何かプライドというか、目的意識があって行動をしている。
そうであることが正しい青春を語る上で大事な作品だと言うように。
愛音は打算的で等身大で、特にやりたいこともなく何よりも留学先で堪えられず逃げてきた人間だ。
でも、良くも悪くも正直で、打算的ではあるが優しく、例え表面的であっても謝るべきところでしっかり謝れる子なのだ。
そんな千早と燈の歪な出会いがMyGO!!!!!の始まりだ。
人と同じように涙するほど大事だと思えるもの、バンド。
人より目立ちたいがために始めたいと思うもの、バンド。
形は違えど偶然交わったその道。
また駄目になると決めつける燈に対して、駄目になってもやり直せばいいと諭す愛音。
彼女のなんでもない、何気ないその一言が燈の心に火を灯したのだ。
MyGO!!!!!の始まりである。
ブシロードのプロモーション「ギスギス、ドロドロ」
物語も中盤に差し掛かり、ブシロードの広告も様変わりしてきた。
それが「ギスギスドロドロ」だ。※ぐちゃぐちゃもあったと思う。
絶妙にノルマとも言える3話、7話とライブ回?をなんとか熟しバンドアニメの体裁を保ちつつも、登場人物誰一人ろくな協調性もなく、各々の思惑が交錯し8話でヒビが入り、9話で完全瓦解した。
そのあたりは実際に見て体験して欲しい。たった9話だから。
※平成初期のアニメなんて1クール分ずっとカタルシスを溜めるための回が続いたりする。
1クールアニメといえば12、3話で終わるもの。それが9話時点でこれである。
もう無理だろ…誰もが思ったろう。(この回の週でリアルライブがあったのでまたそれも忘れられない凄い体験だったが)
だが、高松燈役の羊宮妃那さんは言い切った。
こういうのはリップサービスとかそういうのもあるだろうとか思ってしまうだろう。
――彼女の言っていたことは本当だった。
ロックンロールで闘う女、高松燈。
MyGO!!!!!10話、凄まじい回だった。神回と評するのが安易すぎて言葉を控えたいぐらいに。
私自身、一生忘れられないアニメになった。
ある種、ロックバンドアニメの王道でもあり、会話じゃなく、”ロック”で語り合う本物の音楽だった。こんな骨太の王道展開をバンドリで見れるとは思っても見なかった。
9話まで丁寧に積み上げてきたこの物語は10話の展開に強い説得力を持たせ、一気にカタルシスを得た。
不器用でも、”うたう”ことで想いを伝えようと独りでライブを始めた燈。
それを見た楽奈が勝手にギターで伴奏をつける。
臆病になっていた立希を楽奈が強引に”ドラムやって”とステージに引き戻す。
愛音がどうしても必要だと呼びかける燈。
燈に絆(ほだ)され、自らをさらけ出し、そよを挑発する愛音。
そして、ステージに上げられてしまえばライブをぶち壊すほどの悪意を持てない女、そよ。
燈・愛音・立希・そよ・楽奈、バラバラだった5人がステージで揃い、ロックで、殴り合う。
自分たちの居場所のために。4分に全力で想いを込める。
これは・・・紛うことなき青春だろ!!!!!!
音楽のチカラってすげー。これは本当に体感して欲しい。
だから、10話まではなんとか見て欲しい。見てください。
しかし、これで最終回じゃないのだ。
いやいや、もうこれ最終回だろ!焚音打流してエンドロールだろ!!
柿本監督!10話は栞じゃなくて焚音打に差し替えておいてください!!
なんとか10話で打ち解けたのか…?5人はめちゃくちゃだけど一つになった。
11・12話そんな彼女たちがMyGO!!!!!と完成する最後の階段を一緒に登る回となっている。
言葉は要らない。ここまで来たら是非見て欲しい。見るしかないでしょ。
前作主人公との繋がりも良かった。
予習は要らないとは言ったものの、世界観は既存のバンドリシリーズから地続きであり、場面場面で過去作のキャラクターも出てくる。
別に知らなくても本筋には全く問題ないし、MyGO!!!!!の物語を存分に楽しめるので問題ない。
だが、彼女たちがポピパが進んできた道筋をMyGO!!!!!たちも偶然にも(意図的にも)準えてることに2015年、あの新宿の地下ライブハウスから見てきた自分には目頭を熱くされることばかりだった。
キラキラドキドキ・・・ギスギスドロドロ、どっちも、どっちだって青春だ。
Poppin'Partyが歌ったうた、物語がMyGO!!!!!の彼女たちと重なって見えた。
偶然を集めて奇跡に繋げる・・・一瞬を積み重ねて一生にする
偶然、一瞬。違うものだが、大事なものを集めて積み重ねる彼女たち。
彼女たちMyGO!!!!!は永遠の途中で、一瞬一瞬の積み重ねを育てて「一生」に繋げていく。
自信がなくても、みんなで地図を広げてキボウの道を、迷子(ジグザグ)でも進もう!
MyGO!!!!!の「詩超絆」とPoppin'Partyの「1000回潤んだ空」
2曲とも徐々に楽器が合流する構成になっており、バンド結成のきっかけとなっている歌である。
※厳密には実際劇中でPoppin'Partyが歌ったのは「STAR BEAT!」だが7話の次回予告では「1000回潤んだ空」が使われた。
さらにMyGO!!!!!10話のライブシーンはバンドリ1期の3・8話のオマージュでもあった。
戸山香澄は遅れている先輩バンドのために一人ステージに立ち、歌う。
高松燈はバンドの皆に思いを伝えるために一人ステージに立ち、歌う。
形や思いは違えど、MyGO10話とPoppin'Party8話で手を取りステージに引き上げるシーンは全く一緒であった。
シーズン1ラストでライブハウスSPACEを閉じることとなったが、その後も度々Poppin'Partyの前に現れることとなる恩師ともいえる存在、都築詩船。
彼女は「なくなっちゃうの寂しくないですか?」との問いに
極めつけはSPACEオーナー都築詩船の孫である要楽奈が偶然の出会いから高松燈の「一生バンドやる」という言葉に惹かれ、集う姿には本当に胸が高鳴った。
10話でライブハウスRiNGで5人、輪になってロックで語り合った彼女たち。
Ring…指輪という小さな輪という意味がまた憎らしい。
勿論、Poppin'Partyの「CiRCLING」は輪について歌っている。
永遠の途中…初めて聴いた時すごく印象に残った歌詞であった。
本作品の「一生バンドやろう」という台詞を聞いた時に一番最初に過ぎった歌でもある。
物語中、Poppin'PartyとMyGO!!!!!はステージ袖ですれ違ったぐらいで、大した言葉も交わしてはいない。
だが、Poppin'Partyが歌ってきた”うた”は、確かにMyGO!!!!!に受け継がれているのだ。
これも紛れもなくBanG Dream!だったと思えた。
だが、第13話について一言申す。
予習せず身一つで…楽しめるはずじゃなかったのか…?
MyGOの物語だった本作品は13話で豊川祥子率いるAveMujicaによって一気に、唐突に塗り替えられた。
勿論そこまでの伏線はあったのだが…
バンドリ史上最悪のヴィランとして描かれるかもしれないとも思われた豊川祥子。その真実は13話にある。
ここでその内容について触れることはしない。
どんな悲壮な話であったとしてもだ。
しかしこの13話の構成はここまでMyGO!!!!!の物語を純粋に見てきた視聴者に対する裏切りではないかとも感じた。
反響は凄いものではあったので、それでファンが増えているなら申し分ないが、がっかりしたという新規の方の意見も目にしたので敢えて言いたい。
あのラストを持ってきてクリフハンガーとして終わらせるのであれば、MyGO楽曲を使ったエンドロールをもって、AveMujicaの部分をCパートとして構成して欲しかった。
尺はOPとアバン部分を削って、燈と愛音が水族館で一生の誓いを立てるシーンで「焚音打」が流れたのち、CパートとしてAveMujicaが動き出したらまだよかったろうと思う。映画アベンジャーズ的だ。
本作品はもう少しエンディングの入り方に気を使ってほしかったなと感じる。「栞」は非常にいい歌ではあるのだが。
ただ、最終回を迎えてのMyGOメンバーのインタビューを見る限りはAveMujica編でも相当の出番があると思われるので個人的には落胆はしてない。
もう少し新規のファンに真摯でいてほしかったと思う。
なんだかんだで。
めちゃくちゃ面白かったので4年間放置してきた自分の雑多ブログをバンドリの記事で何度か更新するぐらいに、今回の作品は私に刺さった。
冒頭にも書いたが、願った通りに十分単体で殴れる作品だ。エポックメイキングだ。
聞けば本作は綾奈ゆにこ氏がキャリアで初めて原案を務めたという。
ゆにこ氏としてもこれは大きなターニングポイントになったのではないかと思う。
コンテストなんて企画があるから放置していたnoteに筆をしたためるなんて真似もしてみたが、関係者の皆さんも見てくれるということで、本作品への尽力に本当に、本当に、1ファン、1バンドリーマーとしてここでお礼をいいたい。
Twitter(X)では昔バンドリを見ていた人が、ガルパをやっていた人が戻ってきてくれていたのを目の当たりにしたのだ。
本作品を見る前に、そうなってくれたらいいなとおぼろげに願っていたことだった。
アニメの力ってやっぱすげぇ。
でもそれ以上に、本作品へのスタッフさんたちの尽力に、本当に感謝。
ありがとうございました。