多重債務パチンカーを雇った話。前編
7年くらい前だろうか。数万円を融資した2歳くらい年上の花岡という男がいた。(花岡くん、見てる?)
花岡とは顔も知らなかったが、たまたま同県だったので借金返済のために私のところに打ち子にこないかと声をかけてみた。
花岡は打ち子に承諾して、リニューアルオープン店で24~25回/k回る甘海3Rを何日間か打っていた。その後、玉を盗んだか勝手に音信不通になったか、理由は忘れたが一旦連絡がつかなくなり、その後また打ち子にくることになった。
昼休憩のときには
「昼飯を買う金がないからタバコ吸ってれば大丈夫」
と言っていてあまりにかわいそうだったので500円あげた。
そんな恩を与えても、やはり債務者は債務者。前回のnoteにも書いたが
「車のナンバー控えて大丈夫です(ニコニコ)」
などと言っていたのにバックレてブロック逃げをした。
ーーー
3年くらいたったとき、弟から
「カイジ(花岡のこと)がA店で打ってるよ」
と情報が入ってきた。花岡は弟のところでも少し打ち子していたので顔がバレている。
花岡を捕まえるべくA店へ。
いた、この席にいるやつだ。
しかし3年前の飯も食えない汚ならしいときの花岡と違って風貌が変わっていたため花岡かどうかの確証が持てなかった。
とりあえず隣に座って
「花岡さんですよねぇ?」
と声をかけた。
花岡は
「……?はい?ぼく、藤本ですけど。どなた?」
ととぼけてきた。
その場から動かずに少し話をしていると、花岡から
「ちょっと、ここ迷惑になるんで出ませんか?」
と言われ、外に出ることに。
外に出ても花岡は
「あの、俺、藤本なんですけど」
と言っていた。花岡との確証がないが、私はカマをかけてこういった。
「じゃあもしあなたが藤本ではなく花岡だった場合は……例えば車がパンクするとかそういう不可解なことが起こるかもしれませんね。それでもいいですか藤本さん」
効果は絶大だった。藤本は、花岡であることを認めた。私は続けてこう言った。
「それと…今日パチスロで4000枚出してるのまでこちらは把握してるので、返済お願いしますね。」
「確かに出しましたけど、投資ぶんて言うものがあるじゃないですか。まじで今回は勘弁してください」
と言って5000円を押し付けてきた。
「今後はLINEもブロックしませんし…俺、そこのマダムクラブっていう店で働いてるんで…(いつでも取り立てにきてください)」
そうして返済計画を立てた花岡だったが、数か月後にまた音信普通になるのであった。
後半へ続く
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