ルパン三世 ルパンと不二子の会話Ⅰ
この事件が発生して直ぐ、「誰も傷つけず、スマートに鮮やかに大金が盗まれたこと」に少し世間は興奮しておりました。2009年にやはり1100万ユーロ(13億7585万円)を現金輸送車ごと鮮やかな手口で持ち逃げした犯人(後に逮捕)を彷彿させたからです(フランス人はこの手の話が好き)。
オレオレ政治家詐欺で100億円被害!マスクでフランス大物大臣に変装
まるでルパン三世や明智小五郎のエピソードにありそうな現実離れしたオレオレ詐欺事件がフランスで発生した。
なんと、犯人は本人そっくりのマスクで有名政治家に変装して、日本円で約100億円もの大金を騙し取ることに成功したと言うのだ!!!
フランスは嘘や盗術の文化があるように思う
華麗であれば嘘や盗みも芸術のように賞賛される
さすがアルセーヌ・ルパンが生まれた国
少し前も絵画の強盗がニュースになっててリアルルパンがいるのに驚いた
芸術品が山のようにあるパリはお宝のメッカ
盗人のメッカ
漫画だけでなく本当にそういう世界があるのかもしれない
自分も昔フランス人が平気で嘘を付いて支払いを拒否したのを目の前で見たことがある。でもその人はお調子者のムードメーカーで嫌われることはなかったけど、堂々とやってのける神経にびっくりしたものです。
海外旅行して唯一スリに合ったのもパリだった。地下鉄の駅で切符を買ったあと電車に気を取られてお釣りを裸銭でポケットに入れたのが悪かった。パリの地下鉄、警戒心バリバリで移動していたのにまったく気づかなかった。あんなに見事に気づかれずに盗って行くものだろうかと不思議と悔しさよりも驚きの方が強かった。見事な盗みのテクニックは怒りよりも敵ながらアッパレ、と感心してしまう。ルパンにやられた敵方の気持ちはこんなものなのかもしれない。敵から復讐されたという話がルパンでほとんどないのは、盗みの華麗さもあるからかもしれない。
二次っぽい話になるけど、ルパンと不二子は二人っきりになるとどんな話しているのかなと思う
仕事の話で美術品とか宝石の話しているの聞いてみたい
ルパンは贋作も一目で見抜くほどの目利き
偽物の宝石も触っただけでわかってしまう
相当博識で数多くの現物見てないと無理
本物を見分ける目もないと偽物ばかり掴まされるのだから
不二子だってルパン程じゃなくても目利きのはず
不二子はパトロン付けてパリでギャラリー経営とかすごい似合う
それで絵画の情報がいち早く手に入ったり
そういう立場を利用して社交界に出入りしてたり、だからお宝の情報通だったり
実は裏で見込みのある売れない画家を援助してたりとか
パート4のダヴィンチの絵を買う不二子とかあった
不二子は割とやり手のビジネスウーマンみたいなイメージもあって、ルパンと違って表の世界でも何か立場があるからこそ、ルパンよりも早く情報が集まりやすいのかなとも思う。いつもルパンよりも先にターゲットに接触している不二子のネットワークは興味深い。
ルパンに仕事を持ってくる姿はドラマ「傷だらけの天使」でショーケンや水谷豊のコンビを手下として使う、女ボスの岸田今日子とも重なるものがある。この女ボスは裏設定でショーケンと魅かれ合っていて、後にグローバル企業の社長になっている。
パート5のEDのルーブル美術館
「お宝返却大作戦」でルパンがちょろっとガウディについて持論述べてたけど、そういう美術論みたいなのを不二子相手に議論してたりしないかなと思う。アクションばかりフォーカスされがちだけど、ルパンの知性も大きな魅力。小池ルパンの「次元大介の墓標」や「峰不二子の嘘」ではなぜか植物にまで詳しくて、どこかの博士みたいだった。「峰不二子という女」では光によって色が変わるアレキサンドライトも手に入れていた。その傍ら、暗号解きは不二子に任せていた。
パート5の「探偵 ジム・バーネット三世の挨拶」はルパンの推理物として初めて登場した回。これまでのテレビシリーズでアクションなしの純粋な推理物はなかったはず。ルパンの鋭い知性から来る推理物や謎解きのような会話メインの回とかあってもいいと思う
大人の知的な会話もルパンの楽しみの一つ。ルパンならではと思う
アクションは他の作品でもいくらでも観れるから。ルパンがコナン化するのか(笑)最近のコナンはアクションメインらしいから、コナンがルパン化してルパンがコナン化するのも悪くないのでは。
ルパンと不二子で美術論を交わすシーンとか
エスプリを利かせた会話とか作家の腕の見せ所
「ルパン三世 3DCG」もルーブルが舞台
美術品の価値は難しくて、たとえ今高価でも将来もその値打ちが保証されるとは限らない。本物を見る目がないと市場に踊らされるだけ。ルパンが興味あるのは盗みだけども、レオナルドダヴィンチのモナリザの贋作を一発で見抜ける目を持つ。美的な価値の関心は薄いかもしれないけど、何を盗むか、に関して関心が薄いはずがない。
パート5では「不二子の置き土産」でシットコムみたいな回も出て来たから、これからいろんなシチュエーションが出て来るかもしれない。
いつも次元相手に無粋な会話してるけれど、次元とは議論にならない
でも不二子とは議論になる
議論というか、不二子は会話を通してルパンの知性を測っている。値踏みされる女として不二子は、自分も男たちを常に値踏みしている。利用価値があるかどうか、究極はその目的だけれども、相手の知性への深い理解とリスペクトがある。歌手のマドンナが才能ある男たちと付き合い、男たちからすべて吸収して成り上がったように、不二子もまた一流の男たちと付き合い、吸収して自分を上げて行く。
一流のホステスのように、有能な男たちの会話に付き合える女性は実はそう多くない。能力のある男たち程そのような女性を見つけたら、側に置いておきたい、相手をして欲しいと思うもの。だから不二子は美しさだけでなく、秘書や家庭教師としてどんな階級でも潜り込むことが出来る。ルパンは不二子のそんな男たちの一人であり、またその中でも特別だからこそ不二子の恋人でもある。
やはりルパン三世というくらいだから、フランス文化、パリ文化の影響がイメージとして自然に出て来るし、それがまた一番似合ってしまう。パリの上流階級では食事が大事なイベントで、昔はランチに二時間かける習慣があった。今でも夕食後深夜まで語り続けたり、カフェで政治について会話や議論を楽しむサークルが自然と生まれたりする。中村江里子が食事が終わっても帰らない、帰れない、深夜まで続くお客たちの会話に辟易したという話を聞いたことがある。
会話や議論自体を大人の遊びとして楽しむ文化がパリにはあって、それがルパンたちの粋な会話の雰囲気、モデルになっていても不思議じゃない。
ディナーの後に始まるルパンと不二子の会話。延々と続く議論にアメリカンな次元が嫌気をさして退場、テレビ観戦とか、五右衛門が実はジッと聞き耳立てているとか(笑)そういう風景が目に浮かんでしまう。