ルパン三世 PART5&「今も燃えているか」 プーンの死
なぜパンチ先生は最後に「ルパンは今も燃えているか」で、「殺し屋はブルースを歌う」の続編のような、ルパンと不二子の別物語を創作したのだろう。
なぜ、ルパンは「恋人を殺して悲しむ不二子を見ていられなかった」のだろうか。
なぜルパンが、不二子の代わりにならなければならなかったのだろうか?
これはもしかしたらあるかもしれないもう一つの可能性
ルパンにとっての物語
とてもルパンらしいと思っている
プーンは不二子に殺されたことで
不二子がプーンを殺したことで
プーンは不二子の中で永遠になってしまった
それがもしかしたらずっと、ルパンと不二子の間のしこりになっていたかもしれない
ルパンに対して不二子の壁になったかもしれない
何よりルパンは、不二子がプーンの死を悲しみ
プーンが不二子の中で「永遠」になったことが
許せなかったのかもしれない
だからルパンは自分の手でプーンを始末した
たとえ不二子に恨まれようとも
たとえ不二子に撃たれようとも
不二子に殺されるかもしれないのに
それでもルパンが構わなかったのは
不二子の中で永遠になるのは自分
「殺し屋はブルースを歌う」の時と同じように
「今も燃えているか」でも
女のために一か八かの命をかけるルパンの愛は
どこか狂気じみていて
愛する女の手で殺され
永遠に女の心を独占する未来を
他の男に許さなかったのかもしれない
ルパンが過去改変の旅の最後で、過去を変える決意が出来たのは
二人の間にあったプーンの死というわだかまりが、それほど大きかったのかもしれなく
不二子に恨まれるかもしれない
不二子に殺されるかもしれない
たとえそうなっても変えなければいけないほど
その後の二人の未来に重く圧し掛かっていたということでもあり
不二子の心に影を落とし、その心を奪っているプーンを
ルパンはずっと許せなかった
男の勝負に勝ったはずのルパンが
その死によって永遠になったプーンに
実は負けていたかもしれないということ
だからルパンは過去へ戻る旅で
あの山荘へ
プーンにリベンジを果たしに行った
ずっと不二子の心を奪っていたプーンを
ルパンの手で殺さなければならなかった
二人の同棲生活を描いたパート5のED
窓辺に寄りかかり遠くを見つめる不二子の寂しげな横顔
心と体を寄せ合って初めて見えて来た二人の間に
「何もなかった」のは
ルパンの仮面のせいだけではなかったかもしれない
パート5の特典映像として収録された「今も燃えているか」
この二つの作品は共に成熟したルパンが主人公で
同じ世界の話でもおかしくないほど
互いの世界観を補完し合える
ルパンが過去を変える必要を感じたのは
不二子と暮らし
その心に住んでいるものを感じたからかもしれなく
同棲を解消して不二子と別れた後
もしくは時系列的にパート5が終わった後に
「今も燃えているか」の出来事に遭遇し
ルパンが不二子の代わりにプーンを殺す決意をしたなら
ルパンがたとえ未来が変わろうともそれをためらわなかったのは
どうしても二人の愛のために切実だったから
そうルパンが考えていてもおかしくはなく
不二子自身の手で過去と決別をさせたはずなのに
不二子と愛し合い充実した時を過ごし
別れたら何年かかっても不二子を探し出し
心中まで図ったプーンの存在は
ルパンと一緒に暮らしたら「何もなかった」不二子にとって
あまりにもルパンより大きかったということ・・・
そしてそのことをルパンも痛感しただろうし
女を巡る男の勝負に、実は負けていたことを
初めて知ったかもしれない
不二子との別れがただの別れじゃなくて
ルパンらしくもない引きずり方をしていたのは
なぜか強い敗北感にルパンが浸っていたのは
ルパンが負けた相手は不二子ではなく
プーンだったからかもしれない