ステイホーム中の食卓
昔、そこそこいいレストランで食事をした時に、「当店自慢のおすすめ料理です」と言ってちぎって洗っただけのキャベツを出されたことがある。なんでもこれが一番人気だとか。他の料理の立場は……と思わなくもなかったが、確かにキャベツは美味しかった。それに引き換え、家庭の料理は謎である。材料を洗う→○○切りで5ミリ幅に切る→下ごしらえ→アク抜き→**と一緒に炒める……etc 面倒臭い。プロがキャベツをちぎっただけでお金をとっているのに、なんで素人が毎日手間暇かけなきゃならないのか、全くわからない。そんな私なので、この自粛期間中はなかなかの苦行であった。何せ、三食何かを考えなくてはならないのだ。一人暮らしなら、毎日鍋一択だが、家族がいたらそうは行かない。ましてや今は疫病流行中だから、栄養バランスにも気を配らねばならないのだ。そこで頼りになるのが簡単料理本。もちろんネット検索で出てくるレシピも魅力的だが、本の方がわかりやすくまとまっている事が多いので、そちらを多用している。何冊か購入したが、中でも一番頼りになったのがこれ。
献立本ではないから、これ単品で栄養バランスをとるのは難しいが、厄介な「あと一品」を解消できる素晴らしい本。表紙の通り、本当にやる気がいらないので、助かる。
個人的な見解だが、「料理は愛情がこもっていないとだめ」とか「手間ひまかければ美味しくなる」説には全く意味がないと思う。考えてみて欲しいのだが、三つ星レストランのシェフがいちいち客のために愛情を込めているだろうか。商売である以上、余計な手間も極力省いているだろう。(もちろん必要な手間は人一倍かけていると思うけど)しかし、最終的に値段に見合った美味しい料理が出てきさえすれば、誰も文句など付けない。家で毎日作る料理も、そこそこのクオリティと栄養があれば十分だし、そこに精神論とか愛情とかは無用だと思う。ただでさえ気づまりする毎日なのだから、台所でくらいは肩の力を抜いて暮らしたいものだ。