コロナウイルス関連 時系列表(2月)
だいぶ間が空いてしまったけれども、2月分。作業していて意外だったのは、国家レベルでの動きが少なかった事。感染拡大速度は急速だったものの、実は各国ともに感染者数は大流行というほど増えてはいない。そのあたりは、日経ビジュアルデータのチャートを参照してほしい。日本でも2月上旬時点では海外渡航歴がある人が大半で、国内での相互感染はまだ明らかになっていない段階だった。中国本土以外で感染爆発が起こるのは、3月に入ってから。東京オリンピックが予定通りの開催予定になっていたのも、この数字を見れば理解できる。
2月上旬の時系列
日本で新型コロナウイルスの存在感が増したのは、なんと言ってもクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の一件だ。2月3日に横浜港に入港したこのクルーズ船は、毎日の様にメディアに登場し、センセーショナルに取り上げられていた。しかし実際に記事を読み返してみると、船内で何がどのように行われていたのか、具体的にわかる記事は少ない。私が探した範囲で最もまとまっていたのは、国立感染症研究所HPのまとめページだった。船籍や感染者の国籍など、色々と事情が入り組んでいたこともあり、憶測ばかりが飛んでいたが、個人的には「動くホテル」であるクルーズ船がどの様に扱われるのかが気になっていた。実はダイヤモンド・プリンセス号以外にも感染者を乗せた船が数隻日本に接近していたが、横浜への入港を許されたのは、この船一隻。乗客に日本国籍の人が多かったためであるらしい。それを考えると、クルーズ船内でアクシデントがあった時に、どういう船に乗って、どこにいるのかは非常に重要だろう。こればかりは運としか言えないが……
2月下旬の時系列
下旬に入るといよいよ感染も急拡大。ヨーロッパから中東を超えてアフリカにまで至るようになる。そして日本でも北海道で感染クラスターが発見されている。4月現在、「クラスター」「オーバーシュート」「アウトブレイク」などの用語は当たり前に人口に膾炙するようになってきたが、実際に使われ始めたのはこの辺りだったように思う。
またダイヤモンド・プリンセス号の話題もオーバーヒートしていた。2月18日、船に協力スタッフとして乗船した神戸大学教授の岩田健太郎氏が船内での医療スタッフや厚労省の対応を告発する動画をアップしたのだ。現在は削除されているものの、書き起こしがオンライン上に残っている。岩田氏はこの後著書を出版予定とのことなので、そこでまた詳しい状況を知ることができるかもしれない。
まとめ
おそらく今回のコロナ禍が人類史上に残ることは間違いないと思う。インターネットの普及以降、初めての世界的な大災害だからだ。しかし飛び交う情報量の多さが、逆に事態の整理の妨げになっている様な気もする。とにかく困るのが、「後になってから判明する大量の情報」。2月になってから「実は1月にこういうことがあった」と言われると、すでにそれが1月には既知だったかの様な錯覚を覚えてしまう。しかし実際には1月には一部の人間以外は知らないことだったはずなのだ。そんなことの繰り返しで、私たちの記憶は上書きされ、改竄されていく。情報が多い状況というのは、記録は多いが記憶は当てにならない世界でもある。