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各国都市封鎖事情(1)

1、そもそも都市封鎖とは?

 最近何かと話題にのぼる都市封鎖(ロックダウン)。しかし実際何がどうなってしまうのか具体的なイメージが全くわかず、ただ「非常事態」という言葉の重みにおののいて、意味もなくスーパーに行っては冷凍餃子を買っていた。ホラ餃子って包まれているし、何となく安心感があるから……。とはいえそろそろ冷凍庫もいっぱいだし、ひとまずは落ち着かねばと思って、とりあえず言葉の定義を検索してみた。

ロックダウン(lockdown)とは、緊急時の安全確保を主な目的とした隔離・出入り制限などの措置を意味する語。「封鎖」と訳されることが多い。2020年春現在、いわゆる新型コロナウイルス(いわゆる武漢肺炎)の感染拡大の阻止を目的とした「都市封鎖」、すなわち「都市や公共施設の封鎖措置」の意味で用いられている。(weblio辞書より)

 手持ちの「ブリタニカ国際大百科事典』でも確認してみたけれども、戦争前提の怖い記述しかないので、そっと閉じた。しかし具体的にどういう経緯で行われ、施行されているのかは、相変わらず判然としない。そこで現在実行中の国や自治体の状況を検索して、自分なりにまとめてみることにした。

*まとめにあたり、参照データはできる限り公式ページやニュースサイトから引くようにしますが、ジャーナリストではないので、完全に正確を期すことはできません。間違いなどはご指摘いただけると幸いです。

2、封鎖の範囲と期間

2020年4月5日現在、私が知る範囲で都市封鎖をしているのは、11か国。本当はもっとあるのかもしれないが、残念ながら、追い切れていない。各国の封鎖の範囲と期間は下記の通り。

中国 範囲:湖北省 1月23日〜3月25日(武漢のみ4月8日までの予定)

スペイン 範囲:全土 3月14日〜4月11日

フランス 範囲:全土  3月15日から最短15日間だが延長が検討されている

フィリピン 範囲:ルソン島(首都含む)全域 3月15日〜4月14日

イタリア 範囲:全土  3月20日〜4月12日

ドイツ 範囲:一部の州 3月21日から2週間の予定

アメリカ 範囲:ニューヨーク州など一部地域(50州のうち30州に何らかの在宅命令が出ており、米CNNによると国民の87%が外出制限下にあるとの事)  3月22日〜 行政命令は4月19日まで有効(ニューヨーク州)

英国 範囲:全土  3月23日から3週間ごとに見直し

インド 範囲:全土  3月25日から3週間

ニュージーランド 範囲:全土  3月26日から最低1ヶ月

イスラエル 範囲:感染者が増大している一部の街 4月4日〜

 感染源になった中国以外はほとんど3月下旬に始まっている。ちなみに封鎖が始まった時点での各国の感染者数、死者数は下記の通り

中国 1月23日 感染者数:571人 死者数:17人

スペイン 3月14日 感染者数:4231人 死者数:12人

フランス 3月15日 感染者数:4499人 死者数:91人

フィリピン 3月15日 感染者数:111人 死者数:6人

イタリア 3月20日 感染者数:41035人 死者数:3407人

ドイツ 3月21日 感染者数:18323人 死者数:45人

アメリカ 3月22日 感染者数:33276人 死者数:417人

英国 3月23日 感染者数:5742人 死者数:282人

インド 3月25日 感染者数:562人 死者数:9人

ニュージーランド 3月26日 感染者数:262人 死者:0人

イスラエル 4月4日 感染者数:6211人 死者数:29人

 封鎖になったその日のデータだけだから、これだけで判断はできないものの、アジアは比較的感染者数が少ない段階で封鎖に踏み切っている感じがする。やはりSARSなどでの経験が大きいのかもしれない。そして並べてみるとイタリアの惨状は凄まじい。1日の死者数が桁一つ違っていて、驚いた。ヨーロッパで国境封鎖が相次ぐのもむべなるかな。観光地で働く我々の仕事が残念な事態になっているのも納得である。これは仕方ないわ。ちなみに日本の4月4日時点での感染者数は3053人、死者数は75人。

3、 国内での感染症例確認から封鎖までの期間

 まとめていて気になったのは、封鎖に踏み切った11か国で最初の感染者が確認されてから封鎖されるまでどれくらいの期間があったかということ。特にイタリアをはじめとするヨーロッパは拡大のスピードがかなり速いような気がする。

中国  最初の感染症例:2019年末頃?(不詳) 封鎖日:1月23日

スペイン    最初の感染症例:2月1日(1人) 封鎖日:3月14日

フランス  最初の感染症例:1月25日(3人) 封鎖日:3月15日

フィリピン 最初の感染症例:1月30日(1人) 封鎖日:3月15日

イタリア  最初の感染症例:1月31日(2人) 封鎖日:3月20日

ドイツ 最初の感染症例:1月28日(1人) 封鎖日:3月21日

アメリカ 最初の感染症例:1月22日(1人) 封鎖日:3月22日

英国  最初の感染症例:2月1日(2人)  封鎖日:3月23日

インド 最初の感染症例:1月30日(1人) 封鎖日:3月25日

ニュージーランド 最初の感染症例:2月28日(1人) 封鎖日:3月26日

イスラエル 最初の感染症例:2月22日(1人) 封鎖日:4月4日

 上記のデータ、感染症例が出た時点では死者はまだ出ていないので、純粋に患者の人数だけである。しかし思った通り、異常な速度だった。1月下旬の段階では東アジアの風土病みたいな扱いだったのも致し方ない。特にイタリアは4月4日時点で感染者数・119827人、死者数・14681人にまで膨れ上がっている。最初の症例が確認されてからわずか2ヵ月あまりでこんな事態になるなんて、誰にも予測はできなかっただろう。ほぼ同時期に患者が確認されたドイツ・イギリスも、ここまで極端でないにしろ、感染者数は5桁、死者数も4桁になっていて、強い措置を取らなければ収まらなかったと思う。

 各国の措置などもまとめてみたかったけれども、長くなってしまったので、一旦切ります。

*感染者数は『日本経済新聞Vデータ』を参照しました

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