エボラ出血熱のこと
今回都市封鎖のデータをまとめながら、2014年ごろに読んだ特集記事のことを思い出した。どこかの新聞のオンライン特集だったと思う。当時西アフリカで大流行していたエボラ出血熱に関するものだ。
ーーある村で、局地的に患者が激増した。調べてみると、村人たちが感染者を隠していたことが判明する。彼らは病院に隔離された病人と面会できないことから、政府や医療関係者に不信感を募らせており、家族を守ろうとしていたのだった。しかしそれが結果的に、大流行の原因になっていたのだ。政府は村に強制捜査をかけ、患者たちを隔離した。ーー
ざっくりとだが、確かこんな内容だった。この記事には、防護服の職員に無理やり連れ出される患者と、その足元に取りすがる彼の妻の写真が添えられていた。一緒に読んでいた友人は「教育も行き届いていない地域の様だし、治療の状況もよくわからないだろうから仕方ないよね」と言っていて、私もその時は賛同した。
しかし今、写真の中で泣いていた妻の気持ちがわかる様な気がする。もし家族が新型コロナウイルスに感染し、発症したら、完全に隔離されて会えなくなってしまう。運が悪ければ、今際の際に駆けつけることもできず、骨だけが手元に戻ってくることになる。幸い私は教育も受けられているし、情報も手に入る。医療関係者が最大限善処してくれていることも理解できる。でも、もしも入院が今生の別れになると感じたら、取り乱さずにいられるだろうか。
つい自分は常に適切な行動を取れるのだと思い込みがちだけれども、いざとなったらわからない。ある日大変な過ちをおかすかもしれないのだ。