【映画記録/Movies】『怪物』是枝裕和・坂元裕二

『怪物』を観た。
坂元裕二さんが手がけた『カルテット』、『大豆田とわ子と三人の元夫』が好きだったので、今回もきっと何かメッセージを届けてくれるのだろうと思い楽しみにして映画館に足を運んだ。

『怪物』とは、世の中を支配する、目に見えない何か。それは世間の雰囲気であったり、ルールであったり、なぜかわからないけど、「こうしなさい」と言われているように感じるもの。

各パートそれぞれで、その『怪物』が登場していたのかなと振り返って思う。

安藤サクラさんのパートでは、安藤さん自体はあまり『怪物』に支配されている感は無かったけれど、例えば、死んだお父さんはタフな人だったのよ、あなたが結婚するまであなたを守ると約束したの、と息子に言ったり。何だか普通の会話に見えるけれど、男らしさという概念や結婚することがさも当然かのように話している。息子にとっては、サクラさんの言動が『怪物』として感じられるのかもしれない。

瑛太さんのパートでは、まさに学校や教師という立場が『怪物』となり、自分の自由な行動が制限されていることが表れていた。

子どもたちのパートでは、男らしさ、好きな人が異性ではないことに対する苦しみが描かれていた。苦しみではないか、なんか世間一般の価値観に対して、自分との違いに苦しむ、自分は普通ではないと思い込むというか。

今自分が着ている服も、きっと女性らしい服で、これが本当に自分の着たい服なのかといったら、実際どうなんだろうと思うし、でも自分の価値観は、自分の中だけではなくて、自分の周りの環境からも形成されたものだと思う。だから、もう自分の好みさえも『怪物』に侵食されているのかもしれない。

あー、本当に『怪物』ってどうして存在するんだろう。人間が経済活動、生命維持活動を行う上では、世界全員がそこそこの学力を身につけて働いて、全員が結婚して次の世代が生まれることが良しとされていて、結局そのコマとして生きることが奨励されているから、それが根底にあって、全ての「良い」とされる価値観が形成されているのかなー。女性は女性らしくするべき、男性は男性らしくするべき、結婚するべき、べきべきべき、、、、

作中、田中裕子さんも言ってたけど、「幸せは皆が手に入るものではないと幸せとは言わないのよ」って、なんか刺さるわ

皆さんはどう思ったのか、口コミを観てみよっと。見当違いなこと言ってたら恥ずかしい。まーいっか!

とにかく、面白い作品だったけど、私の感性では拾い切れていない部分があるのがもったいない。

坂元さんの作品、面白い。何を普段お感じになっているのか気になる。



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