社員は財産であるということ〜オフィス編
日本企業の経営者はもっと社員のリテンション(維持)を真剣に考えなくてはならない。これまでは、新卒で入社した会社に定年まで勤め上げるのが当たり前であったが、日本においても人財の流動化が活発化してきており、今後益々激しくなっていく。その現実を自分ごととして捉えず、何の根拠もなく「うちは大丈夫」と思っていたら大目玉を喰らうことになる。社員が辞めないと思ったら大間違いだ。これからは優秀な社員ほど辞めていく。企業が優秀な社員のリテンションを意識して行動に移さなかったら。そして気付いたらさほど優秀でない社員ばかりが会社に残ることになる。
その上で、今後はオフィスにもしっかり考慮していかなくてはならない。丸の内のオフィスに憧れるなんてのは入社1、2年目だけ。そんなことよりも、通勤の利便性であったり、オフィス自体の環境をもっと重視すべきである。アメリカ企業のオフィスは、個室(執務室)を多く設ける傾向にある。管理職以上はだいたい個室を持っている。それは単にエライから、というわけではなく、個室はオープンスペースよりも圧倒的に集中できる環境であり、また周りの社員のことを気にせずに電話やテレビ会議などができるからである。オープンスペースで電話やテレビ会議をしていては、周りの社員も自分の作業に集中できない。日本ではこのスタイル(オープンスペース)が当たり前なので、いかに自分の集中力が削がれているか気付いていない人が多いが、一度個室の良さを知ってしまったら元には戻れない。
「東京は家賃が高いからとても無理」という声が聞こえてきそうだ。それは事実その通りだろう。ただ、私は社員が集中して思いっきり仕事ができる環境を作れるのであれば、わざわざ東京のど真ん中なんかにオフィスを構える必要性はないと思っている。片道1時間かけて、毎日通勤ラッシュで体力を奪われ、オフィスに着いたら着いたで四方を人に囲まれながら仕事をしなくてはならない。仕事が終わったらまた1時間満員電車に揺られながら家路につく。家に着く頃にはもうヘトヘトだ。そして次の日の朝も満員電車に揺られ。。。
人々(社員)をそんな劣悪な環境から一刻も早く救済するためにも、企業はもっと環境の良い、家賃の低い場所にオフィスを移転すべきだ。そしてもっと広いスペースを確保し、管理職以上には個室を与える。そうすればもっと社員は生き生きと仕事をしてくれるはずだ。