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「関わったら他人を傷つける」から歩いてきた私とDiscordサーバー
お疲れ様です、イラストレーターの伊吹revです。
今回は私が作ったDiscord上のクリエイティブサーバー「velocity,」について、少しだけ書き残したいと思って筆を執りました。とはいってもなにか革新的な運営方法だとか良いサーバーを作るハウツーなんてものではありません。ただ単純に、どんな人間が、何を考えてこの場を形成したのか。また、現在そこからどのような恩恵を受けているのか、その対価は何かなんてことを書き残しておくことに意味がある気がしたので少しだけ形にしたいと思います。
「関わったら他人を傷つける」から「広く浅く関わる」へ
まず前提として、サーバーを始めた人である私の人間関係の遍歴について。
めっちゃわかりやすいのでとり上げるのですが、中学時代は強欲な傾向が強く、衝動的な行動をとることで人間関係において何度もやらかしてきました。我が強く、リーダーみたいなことをやるのはまったくもって苦ではありませんでしたが中学時代は周りが見えずに孤立することもそこそこありました。
私は生まれてからずっと山奥の限界集落で育ってきたので、遊ぶためには大人の協力が欠かせませんでした。その結果遊び相手は大人が増え、中学生が一人で40代おじさんの趣味集団に入っていくみたいな経験も多く、そこでやらかして本気で人間を怖くなったことも…
というふうに、まあ中学時代に人間関係でいろいろやらかして、そのトラウマで現在でもLINEはやっていません。同年代の人たちと遊んだ経験も乏しく、現在の人間関係は家族かわざわざ電話をかけてくるくらいの年代の人以外はツイッターがほぼ全てです。
高校時代も上記のような反省から「人と関わると傷つける」と思い大半はあまり積極的に人間関係を築こうとはしてきませんでした。
変化が起きたのはコロナ渦のころです。当時私は東京の大学に進学しておりちょうど1年次が終了、スキー場で働くために地元に戻ったら非常事態宣言で大学が始まらないしそもそも東京に戻れないという事態に陥ります。
この間に大学進学でかろうじて話すようになっていた2人の知り合い(名前も覚えていません)が蒸発、大学でも完全ぼっち生活が始まります。しかも長引く非常事態宣言で東京での一人暮らしは終了、残りの3年間を地元からオンラインで終わらせる方針に転換しました。この時点で大学への所属意識がスッと消えてなくなりました。
さて、生活としては授業が全てオンラインで完結するので実質無職みたいな生活が始まりました。講義をラジオ代わりにしながらバイクでツーリングしたり、もう大学生という意識がほぼないのでいろいろとやりたいことをやってみようみたいなムーブをしていたと思います。
そんななかふと気が付きます。「あ、好きに生きればいいじゃん」と。
社会って別に自由形という競技でクロールをする必要もないんですよね(水泳部)
要するに、今まで自分はダメだと思っていたけど、冷静に考えて素質はあるから、それの使い方をちゃんと工夫して、生かせる場所を自分で作ればいいんじゃないの?って。今までは学校が場所だったけど、社会では場所を自分の好きに作ったって怒られません。
振り返ってみると、私が人間関係で失敗した場面というのはほとんど欲が思考を先行した先で起こった事故で、それは物欲であったり性欲であったりするわけですが、こいつらがいけないとなるわけです。
そこで、素質を適切に生かせるよう欲を外に出さないように厳重に、慎重に、ただし欲って推進力にもなりうるので内部に秘めておけるように訓練して身を固めました。最近やっと飼いならせるようになってきた…気がします。これは訓練ですね。
ここから、学生時代にほとんどなかった「他人と関わる」ことに前向きになってきました。大学2年くらいから「人と関わらない」より「浅く広く、害にならないように付き合う」方向へとシフトしていきます。
twitter買収事件とサーバーの始動
イーロンマスクがtwitterを買収してめちゃくちゃにして、みんないなくなるかも、みたいなことが度々起こるようになりました。
私はこの件の当時、乗り物好きの絵描きさんを集めた合同誌「イラストレータードライバーズ」シリーズをいくつか作っており、仲間と呼んで差し支えない程度には交流のある作家さんが増えていました。また、まだ山奥に住んではいましたがクリエイティブで生きていこうと決めたころの出来事でした。
私にはリアルでクリエイティブなことを仕事にしている知り合いはいません。
のちに開業はしたものの、完全に手探り&手探り、本当に何もわからない状態で、すがるものが「イラストレータードライバーズ」でできた作家仲間くらいしかない状態でした。もし今twitterが飛んだら…詰みです。とはいえほかのSNSへの集団移動も起きず、何とかしてtwitterが飛んでも知り合いとのつてを確保しておく必要に迫られたのでした。
その時いろいろ調べていたのですが、どうもDiscordというアプリにサーバーという機能があるらしい、それは身内向けSNSみたいなのを作っておけるらしいということを知り手探りながら運営を試してみることにしました。
こうしてできたのが「velocity,」の前身となる「SS_STUDIO」です。(SSは私のサークルSPEEDSTAR Associationからきてます。)
もともとはSNSの緊急時に知り合いにコンタクトをとれる避難場所、くらいにしか考えていなかったんですね。
「緊急連絡先サーバー」から「クリエイティブサーバー」へ
緊急連絡先サーバーとして、身内でチャットしたり見つけたものを共有する場として動かしていた時に、もっといろんな人を呼んで、ここで合同誌を作ろうという話になります。これは結果的に失敗したのですが、乗り物絵描き以外のメンバーも少しづつ増え、いろんなクリエイターさんとお話しできる場になってきました。そんななか行われたのが「HELLO,VEHICLE!」という展示企画です。
「HELLO,VEHICLE!」は厳密には作家陣と運営陣で場が分かれており、作家陣はtwitterのグループDMで各種連絡を行っていましたが、運営陣はより密接な連携が必要だったため、この「SS_STUDIO」を利用して運営することにしました。このタイミングでサーバーの名前がびみょいという話になり現在の「velocity,」へと進化したわけです。
「HELLO,VEHICLE!」はそれはもう個人で主催するにはあまりにも大きな企画でした。大量のスレッド、毎週の定例会議、日夜行われる連絡と迷走する伊吹からの相談、Discordの本領発揮です。
結果としてこの「HELLO,VEHICLE!」の運営が、サーバーの体質を「緊急連絡先サーバー」から「クリエイティブサーバー」へと変貌させたと私は感じています。といってもそれは私一人がそうしようとしたからというよりかは、中心となって場を整備、活用してくれる人たちが「そうしよう」という風にうまく活用してくれているおかげかもと考えています。
現在の「velocity,」とこの場がつなぐ可能性
2025年1月現在、私が主となって動かしている大きな企画はありません。しかしながら、参加者がそれぞれMVを作ったり、オリ曲を作ったり、インディーゲームを作ったりして日夜その進捗で私を楽しませてくれています。その一部には私もイラストレーターとして参加させてもらっていたりもします。たまに交流会とかご飯会でいろんな人と遊ぶ機会も設けていただいています。
今のvelocity,はいうなれば「伊吹が招待したクリエイターがいる場」であり、会員制のカフェみたいなものかな、と考えています。
本当にいろんなジャンルの人がいて、
・イラストレーター
・漫画家
・アニメーター
・グラフィックデザイナー
・コンポーザー
・小説家
・ディレクター
・プロデューサー
・Live2D関係
・3DCD関係
・ボーカリスト
・声優
・配信者
・エンジニア
etc…
基本的に通話に10人集まっても役職が全員違うことが多いです。
いろんなことが知れるし、いろんなことを聞ける。本当にありがたい限りです。始めたときから私の生命線であることには変わりありませんが、何か面白いことが起こるかもと思える遊び場みたいなものになってきてるかも。
私としてもこの場を生かさない手はないと思うので、なにかワクワクできる企画を考えついたらまた何かやりたいと考えています。
サーバーという場を維持するということ
とはいえ私は100%SNS得意人間ではありません。
設立から2年くらいたった今でも、なにか気軽に利用できるようにならないか、負担にならないようにはできないか、アクティブになりたくなるにはどうしたらとかいろいろ考えてますがそれが負担じゃないと言ったらうそになります。
イラストレーターは最高の作品を作ることだけに集中していい作品を作るべき。まさにそうだと思います。でも、最高の作品を作るための道の中に、いろいろな話を聞いてみたり、いろんな体験をしてみることも含まれるのかなと思うとサーバーを運営するのにかけている労力が無駄だとは思いません。ただし、バランスは重要かな。
サーバーの中身が固定化する、新しいことがなくなって過疎ることも少し危惧していましたが、そこはいろいろなつながりから人が集まるようになったことで、意外とまあまあ毎月のように新鮮なことがあります。これはいい傾向なので続けていけたらと思います。
サーバーってなんだろね
最近、熱意と経験のある方々に「お前はこの場を使って何をしたい?」と聞かれたことがありました。今のvelocity,は私がやろうといえば本当に大半のクリエイティブが実現できてしまう可能性がある場に成長しました。クリエイター同士が手っ取り早く仲良くなるには一緒にモノを形にすることが一番効果的だということも理解しているつもりです。
でも今すぐに何かやりたいことがあるかと言われたら別に思い浮かびませんでした。すごい人が集まっている分、一緒に動く自分もちゃんと並び立てるくらいに凄くありたい。だから、もうちょい待ってくれって感じです。
今の私はイラストレーターなので極論一人で完結する仕事です。だからこそ、自分の出力を上げるには自分と向き合うしかない。
今、自分が作ったサーバーからすごい進化圧がかかっています。
ある意味では属すことを選ばなかった会社に変わって、ちゃんとやれって言ってくれている気がします。がんばらねえとなあ…
最後に、クリエイティブサーバー「velocity,」の活動目的を貼って締めたいと思います。
当サーバーは様々な分野のクリエイターが交わる場所として
「なにか面白いことができたらいいな」
「わからないことは聞けたらいいな」
「少しでも得ることがあれば良いな」
という思いで運営しております。
誰かの”やりたい!”を受け入れ、始めることを応援するサーバーでもありたいと考えています。
そのためにも少しでいいので気が向いたときに何かを投稿していただけると大変助かります。
イベントや企画はこれからも少しずつやっていければと思いますので何卒よろしくお願いします。
なにか面白いことをしましょう!