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【リーンウィズで速くなる!? 《全20回》】その10 ラインに始まりラインに終わる
基本の走行ライン
それでは、実際のコーナーを走りだす前に、これまで説明してきたライディングテクニックをどこにどのように当てはめていくかを考えていきます。
下の図は左コーナーの模式図です。
こんな絵にかいたようなキレイな90°コーナーはサーキットにしかなく、一般公道ではほとんど見ることができません。
一般公道では、もっとコーナーの曲率が緩やかであったり、逆にもっとグルッと回り込んだコーナーが多いと思います。
さらに一般公道の場合は、対向車線があり、アスファルトの摩擦係数もサーキットより低くて、マンホールや白線などの滑りやすい場所が点在し、コーナーにカント(横断勾配、サーキットではコーナーの内側から外側に向かって高くなるように勾配がつけられているため、より高速で曲がっていくことができます)がついていないことも多いため、こんなに綺麗なラインを描くことはできないと思います。
ですので、これはあくまでもコーナリングの基本的な組み立て方だと思ってください。
実際の走り方
では図を見ながら、実際の走り方を説明していきます。
①アプローチでできるだけアウト側に寄り、直線部分でグッとブレーキングをしてコーナーへ進入できる速度まで減速します。(赤矢印の区間でフルブレーキング)
②クリッピングポイント(コーナーで一番イン側に近づくポイント)にバイクを向けるために、ブレーキをリリースすると同時にイン側ステップへ荷重を載せ、バイクを倒し込みます。(一次旋回=黄色い線の部分)
③車体がバンクするのを止めるためと、リア側へ荷重を移動させてトラクションを増加させるためにスロットルをジワッと開けます。そしてスムーズに、開ける方向へのみスロットルを開けていきます。(二次旋回=緑の線の部分)
④スロットルを大きく開けていくと自然にバイクが起き上がってくるので、コーナーのアウト側へと膨らみながら加速をしていきます。
コーナリングはこのように《ブレーキング》《一次旋回》《二次旋回》《立ち上がり》の4つで成り立っています。
コーナリングの大原則
そしてこれが、”ゆっくり入って速く立ち上がる”という【スローイン・ファーストアウト】と、“外側から進入してクリッピングポイントにつきまた外側へ膨らんでいく”という【アウト・イン・アウト】の大原則です。
コーナリング時にバイクを上手に操るため大事なことは、【タイミング】と【滑らかさ】そして【繊細な操作】です。①から②へと移るその一瞬にタイミングを合わせること、②から③へとつないでいくときの滑らかさ、そして①~④すべての場面を通じて必要な、バイクの挙動を感じながら行う繊細な操作。
これらの操作を一つずつで構わないので、何度も練習して、身体に覚えこませ、そして最後には、一連の動作として滑らかにつなげられるようにトライしてみてください。
ラインは目的ではなく結果
コーナリングというのは『ラインに始まりラインに終わる』と言っていいと思います。
ですが、ラインをなぞることに意識を集中するわけではありません。『ラインは目的では無く、あくまでも結果』です。遅いスピードでただラインをなぞるだけでは何の意味もありません。
大切なのは、理想として頭に思い描いたライン上の『ある地点』を走っている時に、バイクがどんな姿勢になっていてどれくらいバンクをしているか、またバイクはどの方向を向いているのか、といったことです。
そういったことを考えながらライディングを組み立てて、実際に走行してみた結果が最終的にラインとなって現れる、と思ってもらえると良いと思います。
最初からラインが目的となってはいけませんが、思い通りに上手く走れたかどうかはラインを見ればわかる、と言えるでしょう。
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