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【リーンウィズで速くなる!? 《全20回》】その11 目線で導く
補足:S字コーナーの攻略
前回の記事『その10 ラインに始まりラインに終わる』の補足です。
ワインディングには左右への切り返しが必要なS字コーナーがあります。
サーキットならばコーナーとコーナーの間に直線部分があるような大きなS字が一般的なので、一つ目のコーナーを立ち上がって二つ目の進入ポイントまでスロットルを開け、スロットルを戻したタイミングで重心を左右に入れ替えて切り返す、という方法を主に使いますが、日本のワインディングで最も多いのは、『シケイン』のような小さなRが連続するS字のように思います。
シケインのように小さなS字コーナーの場合は、コーナーの頂点と頂点を滑らかなラインでつないでいくのがセオリーです。単一のコーナーなら、一つ目のコーナーのクリッピングポイントへ到達したら、立ち上がりでスロットルを開けていく場面になりますが、シケインでは、そこがすでに次のコーナーの進入となっているので『立ち上がりでバイクが起き上がったら、直立を通り越してそのまま反対側へバンクさせる』という風に、動きを途切れさせずスムーズにつないでいくことが大事になります。
操作もラインも”滑らかにつなぐ”ことができた時が、S字コーナーを最も速く走れた時だと思います。
コーナリングは目線が大切
それでは本題の目線について。
バイクは、ライダーが見た方向へ向かうようになっています。たとえば、雨の中を走っている最中にマンホールを見つけ、よけようとしてマンホールを見たつもりが、何故かまんまとマンホールを踏んでしまった、、、そんな経験はないでしょうか?
マンホールを避けたいならば、マンホール以外のところを見ないといけません。見れば必ずそちらに行ってしまいます。
コーナーに入ってから『オーバースピードで曲がれない』と思ったときに、コーナーのアウト側やガードレールなどを見てしまうと、もうそちらに向かって一直線です。
そんな時は、恐怖心に抗って曲がりたい方向、この場合ならコーナーのイン側へ顔を向けます。するとバイクは思いのほか曲がってくれるのです。
顔を向けると胸が向きを変え、腰そして骨盤が順に向きを変えていきます。人間の身体は自然とこうなるように出来ています。ですので目線をコントロールすることでバイクを導いていくことができます。
走りたいラインがあるのならば、そのライン上に次々と目線を送っていけば良いということです。
目は情報収集も行う
目線はできるだけ遠くに送る必要もあります。走行中、ライダーは路面状況や障害物、対向車などの有無、コーナーの曲がり具合、前の車や後続車など様々な情報を収集しないといけません。集めた情報から素早く展開を予測をし、ラインを常に組み立てながら走ることが求められます。
できるだけ早めに情報を得て、分析する時間を作るために、目線は遠くに送っておく必要があります。ですがそれに反して、すぐ目の前の路面も見ていなくてはいけません。
ライダーは視野全体の景色を同時に目に入れながら、一箇所だけを注視してしまうことなく、遠くにも近くに注意を配って、なおかつ走行したいライン上にも目線を送るという離れ業をやってのけなければなりません。
ちなみに、走行ライン上の目線を送っていくポイントは、『ブレーキング開始ポイント→バイクを倒しこむポイント→クリッピングポイント→立ち上がりの目標とするポイント→次のコーナーの進入へ向かうポイント』といった感じです。
大きくてハイパワーなバイクでも、どちらへ進むか決めるのは自分、そして導くのは目線です。
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