日本人初の世界GPチャンピオン 片山敬済さんと
今では”motoGP”の名で開催されている二輪のロードレース世界選手権で、1977年に日本人最初の世界チャンピオンとなった片山敬済さん。
高校生の時、書店で手に取った『片山敬済 チャンピオン二輪テクニック』という本との出会いが、今の自分を形作っていると言ってもいい。
本の中に書いてあった『この本で気になった部分にはどんどん赤ペンでチェックを入れていって欲しい。そして何度も読み返して欲しい。きっとこの本はボロボロになるだろう。』と言う言葉通り、何度も読み返して、赤ペンで線を引き、最後には全ての行が塗りつぶされて真っ赤になった。
そして『24時間一秒も休むことなくバイクのことを考え続ける』ということを実践し、少しでも片山さんに近づこうとしていた。
残念ながら夢は遠く叶わなかったけど、ただ一心に打ち込んだこの時の経験は今の人生に多いに役に立っている。
そんな青春時代から30年も経った2019年に、僕は一通のメールを片山さんに送った。
『免許を取らせない、バイクを買わせない、乗らせない』という通称“三ない運動”で苦しむ高校生達をなんとかしようと、片山さんがSNSで呼びかけておられ、自分もそれに協力させていただきたいと思ったからだ。
そうして、実際に片山さんと神戸でお会いすることができ、奈良にある僕の店『ライダーズ酒場 銀河食堂』にも来てくださった。
僕はバイクライディングが人生で大切なことをたくさん教えてくれると信じているので、片山さんの教え『双輪道(ふたわどう)』を広めるお手伝いをしたかった。
2019年の年末、もう一度片山さんと神戸でお会いした時には、『双輪道の一番弟子』とまで言ってもらえ、盃を交わしてもらった。その時、本当に涙がこぼれた。
しかしこの話にはオチがあって、2020年の年明け早々、つまり一ヶ月後に破門されてしまうのだった。
さすが世界チャンピオン、何事もスピードが尋常ではないなと思った。
今は片山さんとのやり取りは途絶えているが、やっぱり僕の人生の師匠は片山さんである。
そしてこれからも変わらず真摯な気持ちで、ずっとバイクに乗り続ける。