【リーンウィズで速くなる!? 《全20回》】その7 キモはスロットルワーク
開け閉めを丁寧に
コーナーへの進入ではステップに荷重を載せてバイクを倒し込んでいきますが、目的のバンク角(コーナーの半径や曲がり角、速度によってその都度必要となるバンク角は変わります)に到達したら、今度はスロットルをジワッと開けていきます。
特にスロットルの開け始めは、わずかずつ、かつ優しく開けていくようにしてください。ブレーキングすることにより、チェーンは上側がたるんでいる状態になっているのですが、急激にスロットルを開けてチェーンをビンッと張ってしまうと、タイヤまでそのショックが伝わって滑ってしまう恐れがあります。
そしてスロットルは一度開け始めたら開ける方向にのみ回していくようにします。(ラチェットハンドルのように一方向だけに進むイメージ)開けたり戻したりをラフに繰り返すと、タイヤのグリップの限界をライダー自身が下げてしまうことになります。
逆に、スロットルを閉じる時も、一気にパッと戻すのではなく、時間がたった1秒だったとしてもスムーズにゆっくり戻すということを意識してください。
コーナーに入ってから若干オーバースピードだったり、障害物が現れたりしてスロットルを戻さざるを得ないような場合、簡単に全閉にしてしまうのではなく、何分の1かだけを戻すということを検討します。
というのも、全閉からの開け始めが一番バイクの挙動を乱しやすく、難しいからです。また少しでもリアタイヤに駆動力がかかっている状態の方がバイクをコントロールしやすくなります。
スロットルの開け閉めを丁寧に行うと、バイクをコントロールするのが楽しくなってきます。
一次旋回と二次旋回
ブレーキングでフロントに荷重を移動し、イン側ステップへの荷重でバイクをバンクさせることによってセルフステアを発生させる。これが『一次旋回』と呼ばれるコーナリングの前半部分です。ここでは主にフロントタイヤに仕事をさせています。
倒し込みが終わった時、スロットルは全閉となっていますので、このままの状態でコーナリングを続けるとフロントタイヤの負担が増してグリップの限界を超えスリップダウンしてしまう可能性があります。
そこで今度はスロットルをジワッと開けていきます。それによりフロントからリアへと荷重を移し、リアタイアにさらに駆動力をかけていくことでグリップと旋回力を引き出していきます。このリアタイヤ主導による旋回が『二次旋回』です。
コーナリング中に駆動力を与えると、バイクはどんどん起きあがってきます。ということは、二次旋回は一次旋回よりも緩やかな弧を描くということになりますので、二次旋回ではアウト側へ自然に膨らんでいけるようなラインを設定しなければなりません。このラインの考え方については《その10 ラインに始まりラインに終わる》で説明したいと思います。
繊細にコントロールするために
スロットルの操作を繊細かつスムーズに行うためには、握り方が大事です。写真のようにハンドルバーの外側から手を持っていきドアノブを握るような角度で握ります。この時、小指をメインに握り薬指・中指・人差し指は添える程度にふわっと握ると腕や肩の力が抜けます。
スロットルを開け閉めする時は手首を使うのではなく、腕の回旋(ドアノブを回す動き)によって行うと繊細に操作することができます。
バイクを操る一番のキモはスロットルです。スロットルを通じて、バイクの調子を感じたり、どちらに動いて欲しいか伝えたりすることができます。
スロットルでバイクと対話することを続けていくことで、自分の身体の一部となったような思い通りのコントロールをすることが出来るようになります。