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【リーンウィズで速くなる!? 《全20回》】その19 新説:らせんコーナリング
らせんの動きを使ってコーナリングをする
これは、今まで誰も提唱していなかったライディングテクニックだと思います。
このテクニックは、合気道をされている方とライディングについて話し合っていた時に生まれました。
合気道では、相手を動かすために、見た目にはほんの小さな動き、すなわちらせんの動きを使っているそうです。
人間は、一番元となるDNAがらせんでできていますから、らせんの動きというのはとても自然で理にかなっているものだと思います。
らせんコーナリングがどういうものかを簡潔に言うと『(例えば左に曲がる時)右足の親指の骨かららせん状の動きをスタートさせて、次の骨、次の骨へと伝えていきコーナリングをする』というものです。まだなんだか訳がわからないと思いますが、少しずつ説明していきます。
この『らせんコーナリング』をマスターするためには、これまで説明してきた基本のテクニックを地道に積み上げていくことが必要です。単体で練習してきたテクニックをギュッと一つにまとめ上げたものが、このコーナリングだと言えます。いきなり、らせんコーナリングに挑戦してみても、おそらく上手くはいかないと思います。
一瞬で向きが変わる
ライディングテクニックが上達してくると、だんだんコーナリングスピードが上がってきます。倒しこみの開始からフルバンクまでに時間がかかっていると、スピードが速い分その間にバイクはどんどん距離を走ってしまうことになり、自分の想定していたラインよりもふくらんで、クリッピングポイントにつけなくなるという症状が出てきます。
ところがらせんコーナリングを使うと、一瞬で向きを大きく変えることができますので、クリッピングポイントにしっかりとつくことが出来て、その後の立ち上がりラインにも余裕が生まれます。スムーズで安全な理想のラインです。
らせんの動きは、外側の足の親指からスタートさせます。タイミングはバイクを倒し込もうとする時です。
ただ、『らせん』と言っても、もちろん骨を本当に捻っていくわけではありません。頭の中で、ぐるぐるとらせん状に力が駆け上がりながら伝わってくるのをイメージするのです。
まずは何もないところでバイクに跨っている姿勢をとり(ヒザはあまり深く曲げすぎず軽く腰を落とす程度で)、右足の親指から足首〜スネ〜ヒザ〜太もも〜骨盤〜腰〜背骨〜胸〜肩〜首〜頭〜目へとらせんが駆け上がるのに合わせて、体が左へ回転する感覚を掴んでください。ちなみにこれは左コーナーの場合です。
この“素振り”ができれば、実際にバイクに乗ってもそれを再現することが出来るはずです。(反対側も同様に。右コーナーの場合は左足の親指からスタートします。)
らせんをスタートさせると一瞬で体が回って、バイクの向きが急激に変わります。これまでのテクニックでは考えながら操作をする時間がありましたが、らせんコーナリングでは考えている暇がありません。それぐらい素早く一次旋回が終わります。僕も最初この練習に取り組んだ時には、バイクの動きが早くなりすぎて少し怖く感じました。
自然な動き
これまでの記事では、
『外足荷重』
『外側のヒザでタンクを押す』
『骨盤の向きを曲がりたい方向へ向ける』
等について説明をしてきませんでした。これらのテクニックを単体で行おうとすると、変なところに力が入ってしまって違和感を感じる場合があるのですが、らせんコーナリングではこれらの動きも自然な流れとして取り込まれています。
さらに、らせんコーナリングが他のテクニックと比べて最も違うところは、『一次旋回でステアリングを自然に内側へ切ることができる』という点です。これまでは『ステアリングはできるだけフリーにしておいてセルフステアの発生を妨げないことが大切』と言ってきました。
ですが、セルフステアで舵角がつく一瞬の間に、無理なくステアリングを内側に切り足すことができれば、より鋭く旋回することができ、非常にコンパクトなラインを描くことが可能となります。これが、らせんコーナリングが持っている最大のメリットです。
らせんコーナリングを発生させるために
らせんコーナリングが発動する上で、特に必要な条件は、伏せた姿勢からコーナー手前で上体を起こす(骨盤を立てて背骨がまっすぐに乗っている状態を作る)ことです。
そして肩をフリーにしておくこと。これはとても重要です。
これらが出来ていないと、らせんの動きを妨げてしまいます。
『らせんコーナリングが“鋭く曲がり過ぎる”のなら、スピードが遅い時や、小さなコーナーではどうすればいいの?』
そう思われるかもしれません。
その場合は、コーナーの大小や速度に合わせて、らせんを送る強さの強弱を調整します。頭の中で、弱く送るイメージでらせんを送れば緩やかに、強く送るイメージでらせんを送れば鋭く速く曲がるのが体感できると思います。
らせんコーナリングは、軽い力で重く大きなバイクを操ることができるテクニックだと言えます。あまり“強く”やりすぎると、バイクが大きく動き過ぎて大変危険なので、よくよく注意をしながら、慎重に練習に取り組んでいってください。
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