![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56133009/rectangle_large_type_2_e273b10ab7925846382a922d7cd03d22.jpeg?width=1200)
健康とバイク ③
今回はバイクに乗った時に出る、首や肩、背中や腰などの痛みを改善することにも繋がる姿勢についてです。
姿勢を正すことは、健康増進のためにもなりすし、ライディングテクニックを向上させるためにも大切なことです。
着座位置
あまり重要視されていないケースが多いのですが、まずは着座位置を決めることが非常に大事です。
着座位置の基準を決める方法は、《【リーンウィズで速くなる!?】その2 正しいフォームって?》でも詳しく説明していますが、
①ステップの上に真っ直ぐ立つ
②ゆっくり腰を下ろしていく
③お尻がシートに触れた場所を基準点にする
という手順で探ることができます。
これはライディングテクニックの基本として本などにもよく書かれている方法ですが、実際にはステップの位置だけによって着座位置が決まってしまうという難点もあります。
クルーザー(アメリカンタイプ)ならステップが前方にあるため当てはまらず、バックステップなどを装備している場合はそれに伴い着座位置も後方寄りになってしまいます。
ここで改めて基準として考えたいのは、『骨盤を水平にして、その上に背骨の一番下の骨を真っ直ぐに載せる』ことができるポジションです。
この姿勢の作り方ついては、健康とバイク②の中でご紹介しました。
バイクに乗りながらこの姿勢を実現できる着座位置を、実際に走行しながら探していきます。すると背骨をしっかり立てることができるのが、先ほどの方法で決めた着座位置より少し前になっていることに気づくと思います。(僕の場合は、約1cmほど前でした)
この位置を見つけることができれば、前後左右への体の動きに対応しやすく、腰への負担が少ないフォームを実現することができます。
アゴを引く
これもよくライディングの基本として言われる『アゴを引く』。
でもただアゴだけを引こうとすると、例えば前傾姿勢なら上目づかいになって前が見えにくくなりますし、呼吸も苦しくなってしまいます。
これはさっきの『背骨を真っ直ぐにする』とワンセットで行う必要があります。背骨を真っ直ぐにした上で“軽く”アゴを引きます。(“バンダを締める”のも最後の仕上げはアゴを引くことです)
アゴを引いていないと、肩が上がり首をすくめたような格好になります。こうなると肩関節の動きが硬くなってステアリングの動きを阻害しますし、肩や首周りの血行が悪くなり疲労が蓄積します。
アゴを引くと、自然に肩が下がるようになっています。一度試してみてください。
なお、加速時に上体を伏せた時にはどうしてもアゴが出るので、その後上体を起こした時、またアゴを引くのを忘れないように注意してください。
ヘルメットの被り方
この姿勢をちゃんと実行しているのに、ツーリングから帰ってきたら異様に首が凝っている、ということがあるかもしれません。その時はヘルメットの被り方を見直してみてください。下の動画はヘルメットメーカーSHOEIの『ヘルメットの着脱方法』の動画です。
最初見た時『いや普通やん!』とツッコミました。でも本当にこの通りにやってみると、意外に重要なポイントが含まれていることに気づきました。
ヘルメットは被る角度によって、重心位置が変化します。
まず、この動画の通り、アゴひもを持って前方から回転させるように被るとこの位置になります。
ご自分のヘルメットに握り拳を入れて、同じように試してみてください。
重心位置を少し後ろ(アゴが下がる方向)にズラしてみると、腕に前寄りの力がかかることが分かります。
逆に前方向(アゴが上がる方向)にズラしてみると、腕に後ろ寄りの力がかかります。
この腕に感じる重みが、そのまま首にかかっているのです。この状態を2時間、3時間と続ければそりゃ首も痛くなります。
このようにヘルメットにはメーカーによって設定された重心位置が存在しています。
ヘルメットは一昔前よりも随分と進化し、軽く、低重心寄りになって疲れにくくなっていますが、正しい位置で被らないとやはり首への負担はかなり大きくなります。
『着座位置』『アゴを引く』『ヘルメットの被り方』は3つがセットにならないと効果を発揮できません。
後方確認
首は頭とヘルメットの重さを支え、コーナーでは左右に回転する方向にも負荷がかかっています。特に後方確認をする時などは、真後ろを振り返らなければならないほどの大きな動きでもあり、痛めやすいタイミングだと言えます。
僕はバイクに乗る前のストレッチの最後に首を左右にゆっくり回転させる動作を行います。
じつは、素早い動きをしようとする時には本来使う筋肉ではない、大きな強い筋肉を使って無理矢理引っ張ってしまっていることが多いのです。首を左右に回す動きは、そんな強い筋肉を使わなくても小さな力ですることができる、ということを体に理解させるためのトレーニングをご紹介しておきます。
まず顔を正面に向け、顔を右にゆっくりと回していきます。この時、『イチ、二、サン・・・』と声に出しながら15まで数え、15ちょうどで真横を向くようにします。
今度はまた15まで数えながら、ゆっくり正面へ顔を戻していきます。同じように左向きも行います。
この時のコツは、必ず声に出して数えること。心の中で数えているだけだと、自分のサジ加減で早くも遅くもでき、都合よく合わせられてしまうからです。
これで驚くほどスムーズに首が回るようになります。ゆっくりできることは早くもできます。今度は早く動かしてみても、たいして力を入れずにできるようになっていることが実感できると思います。
ライディングにも大きく影響する“姿勢”
どれだけバイクが高性能になっても、ライダーがバイクの動きを邪魔したり、誤った入力を行なったりすれば、バイクはバランスを崩し、コースアウトや転倒する危険が待っています。
姿勢に気をつけ、無駄な力が抜けたライディングをすることができれば、疲れにくくなり、ライディングテクニックの向上にも繋がります。
バイクに乗っている時の姿勢を作るのは普段の生活から。となれば普段の姿勢も自ずと良くなってきます。正しい姿勢を身につけて、疲れにくく、痛みの少ない身体を作り上げましょう。
いいなと思ったら応援しよう!
![奥本雅史@二輪ライディングアドバイザー](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/173019721/profile_782be1a25e040d9f6c2b48584394ef8e.png?width=600&crop=1:1,smart)