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日記240131「初めての京島/KABに宿泊、Tさん現る夜の京島人ツアー/そして一月、ある月曜日」
月曜日、私の住んでいる町に彼氏を連れてきた。
連れてきておいてなんだが、彼氏を自宅に置いて私はバイトへ出かけた。3時間ほどだ。ごめん。
そのちょっと前、家に向かう途中に出会った近所のTさんも自宅まで連れてきて、彼氏と一緒にそのまま置いてきた。Tさんは自宅のすぐ近くに工場があり、生粋の京島人。
面白い人だから大丈夫だと思い家を後にした。
毎週月曜は銭湯のバイトを入れているので働かなければいけない。
彼氏からは銭湯掃除手伝うよとハートウォーミングな提案があったが、私は明確な理由が浮かばないまま「いやぁ、ハハハ」と言ってその場を受け流した。
責任とか人件費もあるし、あと仕事を自分でやるのと、人に仕事を頼んだり割り振るのって、別の脳みそと体力使うよね。
ちょっと後者の方がハイレベルな気がする。
彼氏はハートフル大天使。
初めての京島2021
東京都墨田区京島、この町を初めて訪れたのは2021年の2月、芸大院試を受けに来た時だ。
ちょうど学部の卒展と日程が被っていたものの、頼れる友人たちに展示を任せて、私は単身東京へ向かった。
滞在中の宿を紹介してくれたのは卒制でお世話になっていた地域おこし協力隊Tさん。
ここで京島と繋がった。
2泊3日だったか、宿泊したのは京島にあるKAB LIBRARY AND RESIDENCY という民泊図書館。
KABに泊まることになったのは、この施設のリノベーションをした建築家のTさんと前述の協力隊Tさんが知り合いで、引き合わせてもらった。
訪れてすぐ、私はこの街が好きになった。
この町で暮らしたい
チェックインするため、最寄りのバス停からKABを目指す途中、平凡な住宅街の中にアーケードが現れた。
それは商店街で、八百屋や魚屋、鶏肉屋、コッペパン屋に喫茶、バー、本屋、スーパー、ほんとに全部ある。
店前にテーブルを出してパックで天ぷらや惣菜を売ってるお店もある。
駄菓子屋さんもあって、そこの前では子どもたちが遊んでいる。
私の地元の駄菓子屋は全部もうなくなってしまったので、懐かしい景色だ。
町の中で遊ぶ、そんな景色がまだ残ってることに心底驚いたし、嬉しくなった。
少し歩けば銭湯があり、番台が常連のおじいちゃんおばあちゃんと仲良さげに会話している。
番台は若い人だったのが意外で話しかけてみると、映像を仕事でしているという人で、俄然この場所に興味が出た。
その後色々あってこの銭湯で私は働くことになる。
KABに宿泊、Tさん現る夜の京島人ツアー
KABに着いた夜、建築家のTさんが現れた。
町案内をしてくれることになった。
京島は迷路のような町だ。細くて入り組んだ道がたくさんある。
昼通った道も夜になると全く違って見える。
たぶん道や壁の一つ二つは増えてる。そう思うくらい違う。
夜になると近くのスカイツリーがひときわ輝いてキレイだった。
大きくてキラキラしてるスカイツリーと対照的に、この町の背が低くてしなびた木造の家々のシルエットが際立っていた。
Tさんに聞くとこれらの木造家屋は戦前からあるものたち。
戦時下の東京を焼き払った大空襲を奇跡的に潜り抜けてきた家なのだそう。
複雑で細い道も、大昔に農道だったものの名残りで、ここは焼け野原にならなかったため区画整備もなく道も家も残り続けたのだそうだ。
そんな町ではご近所付き合いか不可分だ。
東京に対して私が持っていた冷たくて無機質なイメージが変わった。
Tさんはその後Gさんを紹介してくれた。
Gさんはこの町の長屋を管理している人で、賃貸やリノベーション、民泊のほか、「向島EXPO」という不思議なイベントを開催している。
その後、大学院に受かってからすぐGさんに連絡をして京島に住むことになる。
遂に、東京生活が始まった。
ドイツ留学以来、かねてより抱いていた目的に一歩近づいた。
そして一月、ある月曜日。
銭湯バイトを終えて、家に戻る。
彼氏は家で眠ってたみたい。
私が去った直後、彼氏はTさんの工場を見学をしに行ったらしい。嬉しい。
Tさんはプレス加工をしていて、全国にも珍しいブツをつくってる。
彼氏も興味深く面白がってくれたみたいで、本当に嬉しく感じる。
なんだかこの瞬間が京島らしいと思った。なんだこの展開、この暮らし。
いつもありがとうTさん。そして彼氏もありがとう。
その後彼氏と銭湯へ行く。
熱いねと言いながらも気持ちよくなってくれたみたい。
彼氏に背中流そうかと言われたけど恥ずかしくて断っちゃった。もう一回言われたらやってもらおうかと思った。私はいじわるな人間だ。
銭湯であったまった後は、商店街で夕飯を買いに出かけた。
惣菜屋でハンバーグ、ちくわの磯辺揚げ、小松菜のおひたし、煮物などなどついついたくさん買っちゃった。
お店の奥でおばちゃんが牛蒡とにんじんのささがきをやっていて、思わず母親の姿とかぶる。
彼氏の家へは押上駅から帰る。
帰る途中マンモス公園に寄って、絶景を見せるためにあの背の高い滑り台を一緒に登る。
真上には星が静かに瞬いている。
遠くの西の空はまだ仄かに明るい。
低い屋根があたり一面に広がる先に大きな塔が建っている。