コーヒー店訪問 つばめはアルベド・スタイル
コーヒー訪問ヘルパーとしての目下の市場調査テーマは、「高級店」「高価格店」です。ですから困窮しているのに気になるお店を発見すると訪問したくなります。
渋谷区激戦地区にある北欧スタイルコーヒー店の新しいかたち。
すべて予約制。コーヒー2杯(実際には約3杯分)、1時間のコースのみ3000円。
飛込みアラカルト無しは無駄がなく効率がよい形式です。準備や人手の効率化がはかれます。ほかの支店の余剰在庫をコースに組み込むこともできます。
スタッフは3名。週5日6時間営業です。仮に6人定員で計算しても、1日108000円になります。
6人×6回転=36人×3000円=108000円
カウンター席のみで私が予約した水曜日午後2時からは計6名のお客様。
住宅街の一角で、前庭があります。訊いたところ盆栽の店の跡地らしい。外階段があり2階はアパートの造り。
開業1か月で、不慣れなところもママあります。
もしこれがきちんとした3星レストランなら。
予約のお客様が来店する時間は指定されていますから、重い扉はお客様には開けさせません。
限定6名なら、その中に新規の1名様男性客は判別がもっとも簡単です。店の外に影が見えただけで誰が来たのか予測してお迎えします。(実際、他のお客様は、男女1組、女性1組、男性1名は常連でした)
同業者が名乗って来店した場合、責任者が名乗ってあいさつします。
あとで何を吹聴されるかわからないお客様には慎重に普段通りの対応を心がけます。お客様が忘れ物をしたときは、宿泊先のホテルに届けるかもしれません。
予約をとる、という形態とはそうしたことが含まれると思います。
ペーパードリップはエチオピア水洗式浅煎り。焙煎豆は販売コーナーにサンプルをビンに詰めて並置しているので、抽出の前後には拝見できませんでした。1回に使用する焙煎豆はあらかじめ個別容器に分けて、カウンターの背景棚に並べてあります。
カスタマイズされたモダンな動輪ミルで粉に。聞香できます。特筆するような香りは弱く。液体の味わいも10年前とあまり変わらずでした。グレープフルーツのアルベドの健康的な苦みが支配的でした。
2杯目はホンジュラスのエスプレッソローストをノルウェー式アウトドア抽出法で。
ボイリングでなく、浸漬してむらし待ち3分。ペーパー漉しして汲み出しと片口で約2杯分。浸漬のせいかサイホン寄りな味わいで、アルベド苦渋はなく、エチオピアより飲みやすく感じました。
このアルベドの味を果実の甘さと表現している人が多いかもしれません。2016年に北欧を訪問した際、アルベドの味わいを感じさせなかったのはトールセンさんのところだけでした。トールセンさんのお話を聞いて感じたのは、北欧のスペシャルティコーヒーはイタリアの深煎りの対極を狙うところからスタートし、洗練を極めることが凡庸になると解釈、ほかとは違う奇抜な個性を追い求めた結果、人が口にする茶類としての許容範囲を逸脱するケースが多くなった、というものでした。