2016年5月記のタルティーニ・スクール

タルティーニ(1692-1770)は、ヴェラチーニをライバル視しつつ、バイオリンの構造を改良、近代的運弓法を確立、重音奏法などを開発。教育者として1727年頃パドヴァに創設したヴァイオリン・スクール「諸国民の学校(La Scuola delle Nazioni)」からナルディーニはじめグラウン、ナウマン、パジャンなどが育ちました。
この18世紀最大のバイオリニストは出版しただけで125曲、CD29枚分(140曲とも)のあまりに多いバイオリン協奏曲があります。1996年から2013年まで17年かけて、ジョヴァンニ・グリエルモが全曲録音しています。グリエルモは「タルティーニと諸国民の学校」というCDも製作しています。

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タルティーニ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ ニ短調
メネギーニ:合奏協奏曲第5番ニ短調(原曲:タルティーニ)
ルドヴィコ・ジルメン:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ イ長調
ロンバルディーニ:2本のヴァイオリンのための二重奏曲第6番ハ長調
ナウマン:ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ ト長調
パジャン:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ニ長調 Op.1-1
グラウン:ヴァイオリン、弦楽と通奏低音のための協奏曲ト短調 GraunWV A:XIII:9
ナルディーニ:ヴァイオリン、弦楽と通奏低音のための協奏曲ヘ長調

一応イタリアの後期バロックを代表する作曲家とされていますが、「悪魔のトリル」ソナタ(170曲ソナタがあるらしいが)を除くと、ビバルディのような代表的有名曲がありません。「悪魔のトリル」自体も録音が思ったほど多くありません。「タルティーニ・スクール」といってもよい先述の弟子たちを見ても現在名が知られている作曲家はいません。
タルティーニには、イ長調(急緩急3楽章)とニ長調(緩急緩急4楽章)の2曲のチェロ協奏曲があります。これがビオラ・ダ・ガンバ可の曲。ガンバ協奏曲側にとっても貴重なレパートリです。もちろんこれまた録音には恵まれていません。興味深いのはロストロポービッチがビバルディより積極的に取り上げているといえます。

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アンサンブル415版の1994年録音の協奏曲集。
Concerto grosso No.3 in C major - transcription de la Sonate op.1 No.3 by Giulio Meneghini
Concerto for violin and orchestra in A minor(D. 115, "A Sua Eccellenza Lunardo Venier")
Concerto for cello and orchestra in D major(Adlib Vdg)
Concerto for violin and orchestra in G major
Concerto grosso No.5 in E minor - transcription de la Sonate op.1 No.5 by Giulio Meneghini
Roel Dieltiens, cello、Enrico Gatti, violin
Ensemble 415 / Chiara Banchini, violin and direction

わたしはこの盤で初めて代表曲らしきバイオリン協奏曲2曲とニ長調チェロ協奏曲を聴きました。その後ハイニッツのレコードで初めてガンバ版を聴きました。
イ長調協奏曲は、ギエルミで初めて。ほかにHervé Douchy(エルベ・ドシ)が2008年にIl Gardellino(ガルデリーノ)と。きちっとカデンツァ付きで。タルティーニの場合ガンバ特有のというものではなさそうです。

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youtubeには次のような動画も。
Elinor Frey plays Tartini's concerto in A on a piccolo cello strung G-D-a-e.
March 1, 2012, Redpath Hall.

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