ビクトリア(1548-1611)「ラメンテーション」 5種目、サバリスティックな歴史絵巻

歓迎すべきライブ録音。聖週間の聖務日課集を受難曲も組み合わせて。ドゥルチアン付きのガンバコンソートが導入に使われています。部分的に合唱に合わせ、上声部を際立たせる効果も。30年前なら器楽を加えない方が好いと思って聴いていましたが、よい意味で「どうでもよくなった」ので、サバールスタイルの歴史絵巻シリーズも心地よく。演奏者が深化したのか、録音が進化したのか、声楽と器楽の混じり具合が自然な印象。「ローマ1585」の再現ということかしら。検索によると1585年は、ビクトリアがマドリッドへ移動する前年。その2年後にはモンテベルディがマドリガルを出版します。モンテベルディの師匠筋インジェニエリ(1547-1592)とほぼ同世代。大きな括りのルネサンス音楽でなく、時と場所、人が変われば、それぞれ違って聴こえます。最近になって、サバールのセレロールスも聴く耳ができたのか、初耳のときより素晴らしく聴けました。いわゆるルネサンス・ポリフォニーと括るとイギリス系の合唱団が思い浮かびますが、それらと比較すると、ちょっと艶っぽく聴こえるサバールのビクトリア、「明暗陰影」だけの一本調子にならず、素直に傾聴。

画像1

画像2


ビクトリア:聖週間の聖務日課集(ローマ、1585年)

Disc1
『枝の主日』
● マタイ受難曲

『聖木曜日』
● 預言者エレミアの哀歌
● 6つのテネブレ典礼におけるレスポンソリウム
● アド・ラウデス(ベネディクトゥス・ドミヌス、ミゼレーレ、パンジェ・リングァ)

Disc2
『聖金曜日』
● 預言者エレミアの哀歌
● 6つのテネブレ典礼におけるレスポンソリウム
● アド・ラウデス(ヨハネ受難曲)
● イン・アドラツィオーネ・クルチス(まことに、わが弱さをば わが民よ)

Disc3
『安息日』
● 預言者エレミアの哀歌
● 6つのテネブレ典礼におけるレスポンソリウム
● アド・ラウデス(ベネディクトゥス・ドミニス、ミゼレーレ、王のみ旗は)

 アンドレ・モンティーリャ=アクレーロ(カントール)
 ラ・カペラ・レイアル・デ・カタルーニャ
 ルイス・ヴィラマホ(合唱指揮)
 エスペリオンXXI
 ジョルディ・サヴァール(指揮)

 録音時期:2018年7月24-27日
 録音場所:ザルツブルク大学付属教会(コレーギエン教会)ライブ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?