わしの負けだ、チャンバラの後ろ姿
「柳生一番勝負 無頼の谷」期間限定公開の動画鑑賞。
作品本編はモノクロです。
次のスチールは映画のラストシーンです。
「なんとなく」感動のラストシーンでした。
虚実関係なく、とにかく「斬る」それが昭和の時代劇。ですから「無頼の谷」も柳生十兵衛が30人40人いやもっと、の悪党どもを殲滅します。平和的解決を目指す若侍には、一族郎党根絶やしの悲運が待っています。剣豪たちの「悪を一掃する」怒りの大殺戮のあと、ラストシーンは笑って別れよう、と。
寺社縁起から発展したスペクタクル人形浄瑠璃の延長線上です。これをたかが映画でしょ、といえないと、「あずみ」とか「十三人の刺客」2010年版になります。映画館でバサバサ人殺しなんて、たしかによくありません。時代劇ではありませんが、「アイアムアヒーロー」のゾンビ(蘇生した遺体ではないが)ならいいですか、みたいな。
同じ1961年の春に黒沢の「用心棒」。ラストはこんな風。
こちらは、山田洋次の藤沢周平3部作になっていった、のかしら。ただし山田3部作のラストはすべて家族のところへ帰る、「用心棒」とは正反対の物語でした。そう考えると、「男はつらいよ」が常に去っていく「用心棒」物語だったのは面白い。「武士の一分」が2006年。山田でも藤沢でもありませんが織田主演「椿三十郎」リメイクが2007年。
いずれにせよ、時代劇、チャンバラでもよいですが、お茶の間では見られなくなりました。
「お茶の間」という言葉も、死語でしょう。
やりすぎだ、と言われればまあそうなのです。
1961年には、押しかけ弟子に押しかけ情婦とその子分までついて、西遊記の三蔵法師みたいに乗馬で去る近衛十四郎でしたが、1967年には斬られて敗退することになります。座頭市に「わしの負けだ」と言い残して。
その後、近衛十四郎はテレビ時代劇に転戦。小学生のわたしには、素浪人シリーズで、焼津の半次とコンビを組んでコメディチャンバラでした。
柳生十兵衛シリーズがすごい、と聞いても実際の鑑賞はほぼできず。今回の「無頼の谷」で3作品目でした。
お約束のスペクタクルとして気軽に鑑賞できるようにしてほしいものです。