笑うバロック展(181) 古楽演奏史上最大のミステリー「リフキン事件」その2

バッハ・コンチェルティーノ大阪というグループ、今の活動ははっきりしません。中心人物のひとり、音楽学者で日本音楽学会会長もつとめた礒山雅氏は2018年2月22日逝去。1月27日に大雪で凍結した路面で転倒し、頭を打って入院し、意識不明のまま。

「バッハ・コンチェルティーノ大阪」はいずみホール音楽ディレクターの礒山雅(国立音楽大学教授)を音楽監督として2002年に設立されました。アメリカの音楽学者、ジョシュア・リフキン氏の提唱する「4人カンタータ」方式での演奏を実践しています。

2004年2006年2009年に3巻。

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2005年ころのインタビュー

Q: 学界でこれほどの反響を呼び、4半世紀にわたる議論に発展すると、ご自身では思っていましたか。
A:  いいえ、まったく予想外でした。ただ、私にとってこの説は、まったく疑いがなく、はっきりした論拠のもとに発表したという確信を持っていました。こんな風に新たな説を唱えると、最初は必ず「それは本当なのか」と疑いの反応があるものですが、それは当然だとは思います。しかし、きっちりした論拠を提示すれば、これは受け入れざるを得ない事実じゃありませんか。すべてが明白なのですから。ただ当時、とてもショックだったのは、学者と呼ばれる人々から私に対する個人的な攻撃を受けたこと。説に対する批判はいくらでも受けて立ちますが、個人に対する中傷と言うのは、学者としてふさわしくない態度だったのではないでしょうか。20年経った今でも、その気持ちは変わりません。
A: ----いっそのこと、「もう彼が何を望んでいたのかなんて、どうでもいい。バッハがどう演奏されてもいいじゃないか。ただ、私の好きに演奏させてくれ」と言ってしまう方が正直なのにもかかわらず、それには勇気が必要です。だから、自分たちを守るがために「私たちの方法こそ、正統的であり、バッハ自身も望んでいた」と何とか裏付けようとして、論拠も無い説をでっちあげようとするのです。
Q: 「ただ一人の声で歌われたときにコーラスが無限になったと感じた」----「1人説」の真偽というよりも、ただ純粋に音楽的な側面から、この形式での演奏を選択しているように思えますが、あなたはどう考えますか。
A: 1パート1人の論拠がどうでもいいことではないはずです。それは、オブリガートをオーボエでやるか、サックスで吹くか(笑)というくらいに違いますから。

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