新刊のご案内フェイク
ゴンブリッチへのインタビュー
「物語」が意味するのは、単に時系列に起きた出来事を、順番に並べた年代記ではないということを意図しています。つまり、「流行の年代記」のようなものではないということです。
イメージ形成の展開というのは、人の手が介在する物語なのです。それは、人間の企画とその達成の所産なのです。ある目的の達成が停滞した場合には、他の人がそれを引き継ぐのです。ですから、「物語」には一貫性があるのです。人々はそこに、筋道の通った出来事の連なりを見いだすのです。世界を表現する際の、対立する二つの問題や手法の、争いの物語なのです。簡潔に言うと、知識に基づく表現と、見ることに基づく表現との間の争いです。
エジプト人が目前の事物を超えて、彼らが知るものを見ていたと説明した。この物語の行き着く先は印象派です。印象派を生み出したのは、無垢な目と呼ばれた原理です。目に見える世界をそのまま描出する、その原理が勝利したのです。19世紀末のことです。モダンアートは、物語の中断に直面しています。そしてこれまでとは全く違う解決策を探しているのです。印象派を支えた原理は、やや単純すぎるものであって、知っていることと、知覚していることを完全に分けることはできないのです。
偉大な作品は、美術館やギャラリーで見られれば満足なのです。所有したいとは思いません。どこにあるのかわかっていれば良いのです。好きな芸術家というものは思い当たりません。私は芸術家を格付けしません。
フェイク
----タイトルの「物語」が意味するのは、単に時系列に起きた出来事を、順番に並べた年代記ではないということを意図しています。つまり「流行の年代記」のようなものではないということです。ある商品、業種業態の形成の展開というのは、人の手が介在する物語なのです。それは、人間の企画とその達成の所産なのです。ある目的の達成が停滞した場合には、他の人がそれを引き継ぐのです。ですから、「物語」には一貫性があるのです。読む人々はそこに、筋道の通った出来事の連なりを見いだすのです。その世界を表現する際の、対立する二つの問題や手法の、争いの物語なのです。簡潔に言うと、知識に基づく表現と、味わうことに基づく表現との間の争いです。 ----美術で例えれば、エジプト人が目前の事物を超えて、彼らが知るものを見ていたと説明した、この「物語」の行き着く先は、そう印象派です。印象派を生み出したのは、「無垢な目」と呼ばれた原理です。目に見える世界をそのまま描出する、その原理が勝利したのです。19世紀末のことです。その後の世紀のモダンアートは、「物語」の中断に直面しています。そしてこれまでとは全く違う解決策を探しているのです。印象派を支えた原理は、やや単純すぎるものであって、知っていることと、知覚していることを完全に分けることはできないのです。 ----偉大な芸術作品は、美術館やギャラリーで見られれば満足なのです。所有したいとは思いません。どこにあるのかわかっていれば良いのです。好きな芸術家というものは思い当たりません。私は芸術家を格付けしません。同様に、素晴らしい「自家焙煎コーヒー」がどのようなものであるかわかっていれば良いのです。そして「自家焙煎コーヒー店」もまた、どこにあるのかわかっていれば良いのです。私はそれらを格付けしたりはしません。
「日本の自家焙煎珈琲と自家焙煎珈琲店の物語」
「コーヒーの香りがする」――はじめに 街を歩いて感じるコーヒー
第一章 日本の「自家焙煎コーヒー」と「自家焙煎コーヒー店」の基礎概念
第二章 「自家焙煎コーヒー」の種類と特徴――生豆、焙煎、抽出のあれこれ
第三章 「自家焙煎コーヒー店」の種類と特徴――立ち飲み、豆売りから喫茶店、カフェまで
第四章 〈地〉の味わい――街から店を捉える
第五章 〈場〉の味わい――店舗の内外を読み取る
第六章 「人間味」の味わい――「味」が「味わい」に変わる時と場
第七章 自分で穴場を嗅ぎつけよ(実用編)
「おかわり」――おわりに コーヒーを持ち帰る