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音楽の感想 琵琶は何楽器か、梓弓の代わり

教育音楽学科卒業の方。先日拝見した鹿児島の陶芸家岩切氏は教育学部美術専攻。サルデスカのシェフは早稲田の教育学部でした。育てる、伝えることをしっかり学んだ人々が活躍しています。「教えることによって学ぶ」といった看板を思い起こしつつ、そこにはなく、もっと別なところに行動の足跡があるものです。

1時間の演目は、わたしのような耳には程よいもの。

pipakahoru無題

●雅楽古典曲「仙遊霞」「合歓塩」「越天楽」
●催馬楽「更衣」
●芝 祐靖(1935-2019):復曲 五絃譜「王昭君」~四絃琵琶のための
●山本和智(1975-):雨の海(委嘱新作/初演)
●北爪道夫(1948-):佇む花(委嘱新作/初演)

拍子木と謡いを伴う「更衣」。笙との合奏「合歓塩」を挟んで。新作は爪弾きと、透明のバチ弾きで変化。普段使いのお杓文字のようなバチと見事に音色が変わります。もしかしたら、調弦も変えていたかも。

胴の中から響く残響や、意図的なのかフレットを移動するときに左手で弦を打弦しているような微細な音、バチでなく左手で爪弾くのは他の琵琶でもあったと記憶していますが、が美しく。

声や笙と合わせると一気にクラスター感が増すよう。ところが最後の越天楽がソロだと、この「楽琵琶」という楽器は、流暢に旋律を奏でるものでなく、打楽器的にリズムも刻まず、西洋的なハーモニーも作りません。疫禍の時節柄、弓の鳴弦、弦打に近いと感じました。疫禍、ピアニストは自らの音楽の存在意義の再構築を成し、楽琵琶奏者は1音1音を響かせるだけで、魔除け厄除けを成しているようです。短い間に、「構築」と「練成」の音楽を堪能させていただきました。

サイトに貼り付けてあった「啄木」はちょっと個性的に聴こえました。十分説得力あり。

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