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(2020年10月) クープラン(1668-1733)「ルソン」リスト-6 =4種

2011年

キング / キングス・コンソート
サンプソン(Sp)キーランド(MS)
2011年3月トディントン、セントアンドリューチャーチ録音
キングは、ハイペリオンから離れて、2度目のクープラン録音。男声アルトから女声に、ベルサイユピッチに。ガンバがスザンネ・ハインリヒ。ゆったりした長い目の歌唱。一部の繰り返しでイタリア風?な装飾。

クープラン
聖水曜日の3つのルソン
復活祭モテット
マニフィカト
マレ、サントコロンブの器楽

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2012年

クープラン一族の出身地に近いロゼ・アン・ブリの17世紀のフランスバロックの伝統が生きずく名オルガンを使用。オルガンのロフトで演奏しています。ピッチはa396ヘルツなので、ほぼ全音低く。
ルソンは3曲連続し、修道院のためのオルガンミサから3小品。最後に復活祭用のカンプラの詩篇149「カンターテドミノ」主に向かいて新しき歌を歌え、だったかしら。
ジャケット使われている写真は、雲のようにも見えますが。赤字の「09」は、レーベルの通し番号です。デュピュイは主力演奏家らしく、3点のソロがでています。
演奏 歌手モニク・ザネッティ/フランソワズ・マセ(Sp/Sp)、伴奏マチュー・デュピュイ/ジェームス・ホランド/ジョナサン・ダンフォード(Org/Lute/Vdg)。演奏時間が3曲セットで43分12秒。たっぷりと歌っています。
特徴は、演奏時間はクリスティ盤を最速と考えて以降スローダウン傾向。ペダル付きのオルガンへのこだわりはルセ盤マンドラン盤に続く傾向。ピッチはロンドンバロック盤から。カップリングの曲は悪くないと思います。
ベテランのザネッティが2度目です。やはり声楽家にとって魅力的なのでしょう。シチュエーションや解釈の違いを繰り返し表現する価値のある曲です。クラヴサン曲の量との対比、3曲3日の9曲セットなのに3曲しか残っていないのも。

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2014年

クレランボーのミゼレーレに驚く、デュメストルのクープラン

待望のポエム・アルモニクのクープランのルソンを買ったつもりで、かけてビックリ!!
冒頭に収録されたクレランボーのミゼレーレの美しいこと。どうもサンシールの女声3声と通奏低音のための作品らしい。恐るべしシャペルロイヤル。
アレグリのミゼレーレが霞みます。アレグリのは神々しくて天上から降り注ぐ感じですが、クレランボーは幽玄とでも。精霊がすぐ脇を静々と通り過ぎるような。

ところで、ルソンとミゼレーレの関係についてウィキ検索。

アレグリのミゼレーレは、ローマ教皇ウルバヌス8世の治世下である1630年代に作曲されたと推定される。システィーナ礼拝堂にて、聖週間の水曜日から金曜日にかけて行われる朝課のなかでも特別な礼拝である「暗闇の朝課」に際して用いられた。「暗闇の朝課」の儀式は通常午前3時ころから始まり、蝋燭の灯りを一本ずつ消してゆき、最後の一本が消されるまで続く。アレグリは、「暗闇の朝課」の最初の読唱の終わりに演奏されることを念頭に作曲した。
ミゼレーレのうち、最後の12のファルソボルドーネは、1514年から作曲され礼拝にて歌い継がれてきており、もっとも有名なものであった。この作品は、霊性を保つ目的で採譜を禁じられ、前述の特別な礼拝でのみ演奏されることを許されていた。システィーナ礼拝堂以外の場所にて記譜または演奏する行為は、破門によって処罰された。バチカン宮殿から持ち出されたアレグリ作のミゼレーレは、実は1638年前後のグレゴリオ・アレグリと、1714年のトンマーゾ・バイ(1650年生 - 1718年没)の合成による版であった。( ファルソボルドーネ(伊:Falsobordone)とは、中世期に行われた、一種の和声法で、定旋律の上方に3度または6度の音程をおいた曲のことをいいます。フランス語ではフォ・ブールドン(Faux bourdon)、英語ではファバードン(Faburden)といい、モンテヴェルディは聖母マリアの夕べの祈り(Vespro della beata Vergine 1610)で、随所に取り入れている。 )

クープランもクレランボー同様の伝でデュメストルのリュートが幽玄に伴奏します。
歌手ふたりも無理に飾らず、端正ながら角ばったメリハリのアルファベットを聴かせたかと思えば、歌詞によっては大きめの幅のゆったりしたビブラートをかけたり。ただし、クレル・ルフェリトルはクープランは歌わず。なぜでしょう。ドラランドを聴いて当然期待していたのですが、お預け。
ともあれ、ベルサイユのシャペルロイヤルというシリーズの一環の様子。シリーズに期待します。

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2015年

やや遠くの音のクープランのルソン

東京にはクープランという店ができ、映画館では「ラ・ラ・ランド」というミュージカル映画の予告編が。
直近COCOのロ短調ミサと朱のゴルトベルクはデータ購入しましたが、クープランのルソンはやはりそうはいきません。
ハルモニアムンディは、デラー、ヤコブスが活躍し、クープランだけでなく早い時期にシャルパンティエのルソンも積極的に取り組みました。ただデラー、ヤコブスらがそれ以外のルソン系の作品をあまり取り上げなかったためか、最近カルトホイザーがドラランドを録音したくらい。ランベール、ジル、グフェとかあってもよさそうですが。
このCDのふたりの歌手は、わたしにはあまりフランスバロックの劇場型の歌手とは聴こえません。特にクロウの太いビブラートは、リュリが徹底鑑賞したフランスの古典劇のセリフから発展させた音楽には遠い感じ。発音は当時のフランス訛りの発音だと思います。楽譜の再現から聴くと、レチよりカンタよりで、装飾の関係なのか旋律が既存の盤と違って聴こえるところがあります。好みの演奏ではありませんが、何か新しい試みや課題が提示されているのかもしれません。

スリーブのハリディの解説を斜め読むと、クープランの「新しいコンセール」の副題にあるような「趣味の融合」(Les gouts reunis = the reunited styles )を参考にしつつ、声楽作品にもそれを当てはめた、という感じ。ただ声楽に関しては、リュリの開発したフランスのオペラのスタイルとイタリアのスタイルの融合は難しい、とも。その難しいことの先例としてクープランより少し先輩のブロサールのトリオソナタや「スタバトマーテル」を組み合わせたCDになった様子。
ここにヴィエヴィーユのジャン・ローラン・ル・セルという判事兼評論家の言葉が引かれています。「18世紀初頭のフランスにおける様式趣味論争--ラグネとル・セール・ドゥ・ラ・ヴィエヴィーユの「伊仏の音楽趣味比較」」の人物名らしい。さらにリュリの弟子ルベルの評価として「Le Cerf de la Viévilleの言によると、「彼は一片のイタリア人精神と情熱を持っていたが、フランス人の知恵と敏感(柔軟)さによって、それらを良い加減にするための味覚と感覚を持っていた」という」などが検索できます。これらは器楽の話で、それを声楽に結び付けるためにもう一つ引用。竹下節子さんのブログに「フランス・バロックの音楽は、1650年から1750年の100年間に、その後いわゆる「西洋近代音楽」に発展したイタリア・ドイツ系のバロック音楽とは全く違う、いわば「ガラパゴス」的な展開をした。その後、ある種のヨーロッパ・グローバリゼーションと民主化と産業革命の流れの中で、フランス・バロックは絶滅種となってしまう。(中略)フランス・バロック音楽がなぜ特殊かと言うと、それは、身体性のランガージュと通して音楽と出会う二つのルーツ、「語り」と「踊り」を対等に、同時に取り込んでいるからである。」

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(輸入元宣伝情報) ルソン・ド・テネブル(暗闇の朗読、の意)は、キリスト教で、受難の聖金曜日をはさむ聖木曜日から聖土曜日の3日間の、原則として明け方におこなわれる礼拝のこと。各日とも、エレミアの哀歌に基づくテキストの3つの朗読(ルソン)を含みます。暗闇を意味する「テネブル」という語は、この礼拝で、朗読を進めるにつれ、ロウソクが一本ずつ消されてゆくことに由来しています。キリスト教にとってとりわけ重要な受難を思う礼拝というだけあり、付随する音楽も非常に重要視されています。ルイ14世(太陽王)の時代に多く作曲され、ルソン・ド・テネブルは、社会的イベントのひとつにまでなりました。
ここに収録されたF.クープランは、ルソン・ド・テネブルの中でも至高の名作のひとつ。クープランは9曲ルソン・ド・テネブルを書いたとされていますが、現存するのはここに収録された3曲のみです。ソプラノの二重唱による第3のルソンは、モンテヴェルディの声楽書法やリュリの劇的表現をも思わせる充実した作品で、フランスの宗教音楽の中でも傑作のひとつとされています。
世界の名だたる指揮者からの信頼も厚いルーシー・クロウ、そしてイギリスが生んだナンバーワン・ソプラノ、エリザベス・ワッツ、2人のソプラノの共演にも注目です。セバスティアン・ド・ブロサール[1655-1730]は、理論家としての功績が大きい人物ですが、イタリア趣味を巧みに取り込んだ作品を遺しており、そのセンスの良さはここに収められた作品からもうかがい知ることができます。
1. F.クープラン:第1のルソン・ド・テネブル
2. ブロサール:トリオ・ソナタ ホ短調
3. F.クープラン:第2のルソン・ド・テネブル
4. ブロサール:トリオ・ソナタ イ短調
5. F.クープラン:第3のルソン・ド・テネブル
6. ブロサール:スターバト・マーテル op.8
ルーシー・クロウ(ソプラノ:1,3)
エリザベス・ワッツ(ソプラノ:3,5)
ラ・ヌオヴァ・ムジカ(声楽:6)
アレックス・マッカートニー(テオルボ)
ジョナサン・リース(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
ジュディット・エヴァンス(コントラバス)
デイヴィッド・ベイツ(オルガン、指揮)
録音時期:2015年10月 ロンドン、キルバーン、聖オーガスチン教会

ジャケットは、フランス、クレモンフェランのバルゴワン博物館の18世紀フランスの画家の「歌手たち」。


(雑感) バロック音楽を聴く、というのと、クラシック音楽ファンというのは違います。クラシックファンは、「新世界」「運命」「未完成」「悲愴」「幻想」「驚愕」なんてきて、バロックの領域では「四季」「カノン」「ベニスの愛」「G線上のアリア」くらい。バロックをもう少しと思うと、後は底なしの泥沼です。「トッカータとフーガ」や「ハレルヤ」で引き返すのがクラシックファンでしょう。ここにはバロック以前は含まれません。
バロック音楽を聴くというのは、楽器でいうとリコーダー、ビオラダガンバ、リュートあたりが気に入ったというようなことです。一般的にクラシックファンが聴くことは滅多にありません。ましてやリコーダーは音楽嫌いを作る呪いの教育楽器の側面もあります。
繰り返し言いますが、わたしはクラシック音楽を聴くようになったのは最近の話です。仕事上のある事情からバロック音楽には親しんだのですが、その中でも相性があったのが、バロック音楽の声楽作品だったのです。前述のいわばバロック特有と言っていい楽器も相性良く、それらがバロック以降ほぼ絶滅したことから、自然とバロック音楽に耳がいき、それ以前に遡っていくことになりました。
やっと最近聴く機会に恵まれて、クラシック音楽にも親しむようになってきました。

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