笑うバロック展(513) パドヴァのヴァンディーニの発掘
2019年エリノア・フレイ、2020年フランチェスコ・ガッリジョーニと相次いで録音。6つのソナタと1協奏曲で「全集」になってしまうらしい。タルティーニ・スクールの作曲家。タルティーニのチェロ協奏曲はヴァンディーニのために作曲されたという説も。ふたりのチェリストは、この作品のために弓の持ち方を変えて。この伝でドゥシのようにバッハまでトライする奏者もでてきます。そこまでするなら、グラウンにトライしてほしい。
イタリア・バロック時代の作曲家ヴァンディーニ(1691-1778)は、優れたチェリストとしても活躍しました。彼はタルティーニの親友であり、パドヴァでは同じ楽団で演奏していたことでも知られています。彼の高度な演奏は、当時、この地を訪れたイギリスの音楽評論家チャールズ・バーニーを感嘆させたようで、『音楽見聞録』にも称賛の言葉が記載されています。またバーニーは彼の弓の持ち方についても言及、アンダーハンドグリップ(コントラバスのように下から持つやり方)で演奏していたことも添えられています。
アントニオ・ヴァンディーニは、チェリスト、作曲家、修道士として、パドヴァ、ベルガモ、ヴェネツィアなどで活躍し、同世代のタルティーニと共にプラハでキンスキー家に仕えたとも伝わる18世紀イタリアのヴィルトゥオーゾ。1769年には妻に先立たれたタルティーニを自宅に迎えるなど、稀代のコンポーザー=ヴァイオリニストとの親交を温め続けたことも知られています。ボローニャ楽派を代表する完成度を誇りながらも、ヴィヴァルディやタルティーニの陰に隠れてきました。
証拠図像。
2016年録音のボローニャ・バロック、アントニオ・モスタッチは、1750年頃にG.F.レオンポッリが製作した5弦のピッコロ・チェロを使用。弓の持ち方は触れられず。