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コーヒー店訪問 遠慮しないで、しかし、いい人戦略で


青山墓地の隣にSOLSOパークという名の、園芸店のような公園のような施設があります。
ネットの地図には駐車場付き種苗店のような表示。三越の屋上庭園のようなものか、園芸店と並んで子供連れがくつろげる中庭風に面した建物がコーヒー店になっています。
プロバットの焙煎機が窓から見えます。機械前にカウンター席があります。お客様からは離れていて安全は確保されていますが、ほぼガラアキの倉庫を直したような店。
減煙装置は付いていますが、ダクトはくねくねと蛇行して壁を抜けヒサシをかわして屋根に伸びています。

ペーパードリップのコーヒー(「バッチブリュ」と表記)を1杯とアップルラムレーズンのパウンドケーキ系の生地のタルト。
余計な渋み酸み(抽出の器具やメッシュ、粉量の加減によるものかも)なく、醗酵風な香りなく、しかし何とも言えないボケた生っぽさ白湯っぽさが口に重く何を飲んでいるのか特定できない感触です。浅煎りで悪い味を出さないようにしたとき、これならば及第かと勘違いする生焼けの味風味だと思います。
海外でのカッピングで、生焼けはあまりなかったと記憶しています。何より、火が通っているコーヒーなら高評価され、生焼け風は低評価、そもそも原料に難ありと判定されていました。
海外の審査のためのカッピング用サンプルならば、生産現地で厳密に選別され、均一に火が通るようにコントロールしているはずです。つまり焙煎はかなり安定してできる、要は簡単ということです。そこで焙煎に高度な技術が必要なら、その時点で低評価になるはずです。
しかし、サンプルはサンプルです。その20倍から100倍の現物とは、グレーディングに関わる欠点豆のレベルでなく、「欠点豆0」の生豆の中の熟度や粒サイズ、水分など「揃い具合」がバラつくのは当然です。落札して届いた現物は一見同じ見た目だが、良いところも悪いところもトータル量に応じて拡大されます。実は審査の際カップ1杯の中に存在した味風味の良し悪しの悪い部分が強調される1袋(20キロか35キロか)がでてきても不思議はありません。
農園の規模にもよりますが、高価格の落札品になるものが、微妙な味を調えるために1パーセント減量することになるなんて、考えないでしょう。
日本の中では、それらがもっと大雑把に拡大されて、高価格で消費者に飲まされていると思います。


芸能人の格付け番組をテレビで観ました。
解答者の純粋な経験値だけを基に、ワインの赤白を特定せよ、というもの。ワインを職業にしようとするソムリエなら日ごろから意識して味を見ているでしょう。それでも、試飲するサンプルの量や温度によっては近く感じるものもあるでしょう。何よりきちんとトレーニングを受けていない消費者にとっては、日ごろ楽しんでいるのはどれですか?と問うているのと同じです。赤白の特定をしているのでなく、自分の普段飲んでいる記憶しているワインに近い方を回答しているにすぎません。
ロビンソンのワインコースには、鼻をつまんでコーヒーと紅茶を飲み分けられるようにとあります。
嗅覚の重要性もありますが、何より意識してトレーニングをつむ必要があることを示しています。

複数のコーヒー好きの一般の方に、それぞれ自分が家庭でドリップ抽出するやり方でコーヒーを淹れてください、と依頼し、出来上がったコーヒーをそれぞれ試飲すると、自分が淹れたコーヒーを規準に複数の他人がそれぞれ淹れたコーヒーはちょっと好みではない、と評価します。そこへプロが淹れたコーヒーだと試飲させると、ほとんどの人が、これなら良いと思うと、言い始めます。
プロのコーヒーは最大公約数の許容範囲なのですが、自分が日ごろ飲んでいる飲みなれたコーヒーの次に良好に感じる、他人がその好みで淹れたコーヒーは容認できない、ほとんどの人か同意見で自分の好みを別にすれば良好とするコーヒーになり、さすがプロの淹れる技術は大したものだ、とおさまります。
本来は、逆でないといけない。きちんと味風味についてプロに習い、抽出の基本も習い、プロの手本の80%くらいは近づける抽出ができるようになり、そこがスタート地点になります。それと比較して個人の好みを反映させたコーヒーが家庭で作れるように研鑽してもらいます。
プロの味は、基本に忠実でブレがないことが重要視されます。それが実施できるからこそ、微妙にコントロールした「違う味」も作れます。基本を習得して、自分の好みを発見し、その好みを再現できることが大切です。

もう1軒は、谷根千の中に。古い喫茶店、新しい豆売り店が並ぶような通りに、高級な予約制の美容室のよう。日本語の表記がほとんどありません。
店番の青年はカウンターでの応対になれた人で、コーヒー豆のボトルのフタを開けて香りを嗅ぐように案内してくれました。ケニアのコーヒーを選びました。本日のケニアは、昨日までのケニアとは生産者が変わったとか。ケニアのコーヒーがどんなグレードなのかは説明がありませんでした。そもそも「コーヒーのグレード」という概念は一般のお客様はほとんど知らないし、そんなことを質問したりしないでしょう。とにかくトレーサブルでスペシャルティなんだ、と。全体像としてケニアのコーヒーはこんな味なんですが、昨日までのはアプリコット系フレーバーでしたが、本日のは青リンゴ系ですなんていう説明はありません。提供している側は理解できるけれど、お客様にはチンプンカンプンでしょうから、いちいち説明しませんが、みたい。
円錐型ペーパードリップで。1回の湯をさしたあと、粉をマドラーでくるくる撹拌していました。200ccくらいでしょうか。抹茶茶碗で提供。
浅煎りの酸っぱい渋い生臭くボケて胸焼けするコーヒーでした。カウンターの青年に、あなたはこの希少貴重なコーヒーを毎日何杯飲み干しているの?と訊ねてみたくなりました。まず間違いなく、「吐きだし」ているだけで「飲んで」いないのだと、感じました。これを3杯連続で飲み干したら、この味をお客様に有料で飲ませるのはヤバイと思うのかもしれません。
「吐きだす」ためのコーヒーは、SDGSに反します。

そう思いつつ、岡田式いい人戦略でいかねば。
「欠点を探して指摘しません」「改善点を提案しません」。
どこも高価格なのでおかわりできないのは、困窮しているからとはいえ幸運としか言いようがありません。


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