2024年ポーランドの古楽祭Muzyka w Rajuの収穫(1) シャフラット
ポーランドの古楽祭 Muzyka w Raju (ミュージック・イン・パラダイスのポーランド語のよう)。
開催地はベルリンの東部、ブランデンブルク州に隣接するルブシュ県。ドイツから見るとオーデルナイセ線に接する地域です。地勢的な縁続きの音楽をとりあげてくれます。
前述の公開動画コンサートの中に、アンドレ・リスレヴァンのグラウンニ長調協奏曲あり。大いに楽しみです。
Johann Gottlieb Graun (1703–1771)
Concerto D major for viola da gamba and strings GraunWV A:XIII:4
Vivace, Adagio, Allegro assai
まずは、若手の有望株。
2024年8月の公演「2≧1+1」(1+1は2以上)動画鑑賞。
マノン・パパセルジオとテオドロ・バウのデュオコンサート。
始まりのシャフラットのニ短調デュオ。
マノンのコブシが異国趣味濃く響く出だしでした。
さすが幕開けに弾く自信があるのか、シャフラットを意識しました。
前から感じていたのですが、マノンのファッションがリニョル姉さんに似ていて、なんだかヘンだと思います。こんなことをいうと失礼かしら。
バウはなで肩f孔のガスパロ・デ・サロ風の6弦。毎回違う特徴の楽器を使っている様子。ジョシュア・ベルの使っていたシャノシャルドンにも似ています。6弦のせいかしら、少し音が前に押しだされる感じ。マノンの音は横への広がりが豊かな印象です。
バッハのインベンションはお客様へのサービス風。
ルクレールとギニョンのバイオリンデュオのガンバ編曲の後半は妙技が楽しめます。
マレの出番が希薄なガンバの祭典といえそうですが、西のベルサイユに対して、東はサンスーシ中心ということで、ガンバのギャラントな辺境半生を楽しみます。
グラウンはじめ親子兄弟の作曲家が目立ちます。演奏もリスレヴァン、パパセルジオと古楽の音楽ファミリーの出が目立ちます。文化的資産が引き継がれた二世三世たちの活躍、わたしは狭い意味のトラッドとして、自分たちのものとして取りもどそうとしているように感じます。「音楽は世界共通の言語」ではない、薄まった「みなのもの」でなく、濃くなった「われわれのもの」を、まずわれわれ自身が楽しみ、そして別な文化圏の方で理解したいと謙虚に憧れる人々と共有したい、そんな風に聴こえます。