笑うバロック(290) 18禁のフィッシャー(1656-1746)「春の日誌(Le Journal du Printemps 1695)」 [65候補]

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詳しくは「ロベール・ブレッソンの映画」ブログの中の「『スリ』の音楽をめぐって」をどうぞ。ブレッソンに詳しい方ですが、使用された音楽についてもずい分と詳しいのでビックリです。一部引用しますと。

(BGMを)1970年代以後は一切使わなくなりました。そのようなブレッソンのフィルモグラフィの中で、劇中世界の外部に位置づけされる背景音楽が、節約されつつも、最も効果的に、情感を高めた使い方がされている映画が『スリ』Pickpocket(1959)です。しかし、『スリ』に使われた管弦楽曲の音楽の出典は、半世紀以上も明らかにされていませんでした。『スリ』に使われた管弦楽曲は、ジャン=バチストゥ・リュリ (1632-87)作品のフェルナン・ウブラドゥス(1903-86)による編曲版とクレジットされていますが、実際にはリュリを模倣した、ヨーハン・カスパール・フェルディナントゥ・フィッシャー(1656-1746)の作品『春の日誌』Le Journal du Printemps(1695)組曲第7番 ト短調、第1楽章「序曲」、第2楽章「パッサカイユ」からの抜粋です。

いやあ知りませんでした。リュリだと信じ切っていました。

ともあれ、1959年当時の映画音楽にリュリを用いるという発想はかなり先駆的でした。後述するように、フランスでリュリが本格的に再発見されるのには1987年を待たなければならなかったからです。
ヨーハン・カスパール・フェルディナントゥ・フィッシャーの詳しい伝記は明らかにされていませんが、パリでリュリの弟子であった可能性があるとされています。
『スリ』で用いられる『春の日誌』第7番ト短調、第1楽章「序曲」は、リュリの音楽悲劇『アマディス』Amadis(1684初演)プロローグ「序曲」の模倣で、『春の日誌』第7番 第2楽章「パッサカイユ」は、リュリの叙情悲劇『アルミードゥ』Armide(1686初演)第5幕、第1場、パッサカイユの模倣です。

いやあ知りませんでした。リュリだと信じ切っていました。「18禁のリュリ」にしようと思っていたのですが。主演女優のマリカ・グリーンは当時16歳とのこと。大人になってエマニエル夫人の恋人に。

『春の日誌』第7番は下のCDに収録。

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