コーヒー店訪問 一杯のコーヒー代とは傾いて候
新御徒町から徒歩で、菓子屋ここのつの位置を確認し、その足でカブキに。
歌舞伎でも、高千穂明久でもない。しかし十分傾いてますな。
意図的な入りにくい店構え。
高そうな店の構えとして悪くありません。
そうかサルデスカにしても、ノウラにしても。まあ昨今のレストランのわかりにくさ入りにくさと共通かも。
ナベノイズムは外からキッチンが少し覗ける、ある意味理想かしら。
さて、わたしを含めて、こんなコースで周遊するお客様が「多そう」。
浅草橋下車、白日で器や古道具を見、さてビーバーでパンを買うか、FOBSで菓子を買うかいずれにしても一休みしたい。
スタイリッシュなコーヒー屋が増え、普通の民家ティールームもある、ビーントゥバーチョコレート屋も。
考えてみれば、チェドックも圏内。
先日閉店セールした渋谷のニシヤだったかも、この辺りに引っ越しするのでなかったかしら。
カブキは、てんぷらの下村の町内会にあります。下村は元和菓子屋だった店舗を改装して。昼から1万円とられます。
そうした場所を狙って、閉業した町工場らしい建物を外観はほぼそのままに。
中はどうでしょう。ネルドリップのコーヒー店の系譜に連なるみたい。すぐに思い起こしたのは、銀座の十一房あたり。1階は工房。物販と会計。2階が喫茶室。やはり入りずらそうな扉を開けると、眼が慣れるまで薄暗い広間。地階にあるバーなどの雰囲気。椅子やカウンターの中の棚、ラジオらしき機械----白日が揃えた風。ほとんどのお客様は、コーヒー1杯700円に板チョコ200円付きくらい。客単価900円で計算できそうです。10人ほどでほぼ満席1回転。1杯に費やす時間が結構かかります。本日隣席のお客様は届いたエチオピアコーヒーになかなか口をつけません。香りを楽しんでいるのか、冷ましているのか、はたまた偵察隊か。
わたしは来たらすぐ飲んでしまいます。それ、この店内では野暮な飲み方の典型みたい。正味90分ほどでわたしは3杯。この間3人ほどお会計して席を立ちました。席が空くとすぐ埋まる、そんな日でした。
1杯目、デミタス・ヤンニハラール(750)。
ヌケの良い深煎りの味わいですが、どうも香りも液体も薄い印象。とろりとした濃度感がありません。思いのほか後味も弱い。排気が良くない機械で、燻臭くならないようにコントロールすると飲めるけれど、シャバシャバした味、とそんな印象。どんな材料も近接した味になり微妙な差異をやや大げさに説明しないといけなくなります。ずっと以前、大坊珈琲では控えめに傾いていて納得しましたが。
2杯目、エクアドルホットチョコ(900)。
バナナのような醗酵系の風味がとの説明でしたが、どうも放し飼いっぽい普通だが淡白なミルクでサラサラとしたホットチョコを。チョコのポタージュというのはちょっと「?」。ザラザラしていないだけで、日本人が飲みやすい脂っこくないもの。大倉の底浅のティーカップで。
3杯目、深煎りブレンドかもしか(700)。
インドネシアやグアテマラがブレンドされているらしい説明(聞き間違いでしたらごめんなさい)。最初は悪くないと感じましたが、やはり全体にもっさりとした蒸れた生っぽさが長く残ります。渋いとまでは言えないけれど。
これで値段なりの価値を納得できるかどうかが評価の分かれ目かと。
分野は違えども、ビーバーやFOBSのような説得力があるか、問われれば微妙です。
ただし、お借りしたトイレがことのほか暖かく、その一事で万事という風に思いました。
おかわりを頼むと素直に喜ぶスタッフも悪くありません。
閑話休題。1回転9000円から1万円程度として、平日3、4回転かしら。2階の喫茶が、日商3万から4万円ほど。これだけだと見かけたスタッフ3名プラスオーナーでは厳しめ。何か別な収益源があります。
コーヒー豆は100グラム850円から。
うーん、いろいろと考えさせられます。
魚も住みかねる白河近辺より、元の濁りなのかなあ。
何にせよ、自分より若い世代ががんばっている、その中でも立役者たちを訪ね歩くのは興味深いものです。