笑うバロック(27) インベンションのパパ [66候補] ボンポルティ

ダイナミックの企画は郷土愛溢れるものが多く、いや愛国的と言った方がよいかしら。イタリア人の四季、フランス人のクラブサン音楽、イギリス人のパーセル、ドイツ人のマタイ受難曲。プロレスのチャンピオンベルトのように獲り合いしていた頃がありました。次の「笑う」用に調べてみよう。

------------
CDの棚から、ボンポルティの独唱と弦楽のためのモテット集作品3(1702)のCDが2枚発掘されました。いまはデジタルデータで簡単に買え聴けます。
上はボルティモアコンソートでよく購入したドリアンレーベル。インディアナポリスの降誕教会で1996年録音、おそらく世界初録音だと。
下はイタリアバロックもの全曲トライの名門ダイナミックレーベルで、ボンポルティ全集第1巻。2000年ヴェローナのアカデミア・フィラルモニカのホールで録音。
右はどうもこれらの録音の前後に成立した実用譜として使える印刷されたボンポルティ全集。ボンポルティが残したのはヨーロッパ好みの12作品。ドリアン盤はこの全集との関わりが記載されています。
録音年差4年。演奏時間差6分。最初のハージスよりベルタニョリの方が全体に速く歌っている計算です。ベルタニョリの方が活躍の幅が広め。
校訂譜による全集は、楽曲の確定を含めて、影響力があるのでしょう。バッハの作品も増減しますし。ところで、そもそもボンポルティって?

画像1

詳しい方がいました。
とにかく笑っちゃうくらい奇特(賛辞です、もちろん)な方々がいるものです。
このブログで紹介されているキアラ・バンキーニ演奏のボンポルティのインベンションを流していると、確かにコレルリよりバッハ風に聴こえます。ただし間違ってはいけないのは、ボンポルティがバッハに似ているのではなく、バッハが日本人のように自己消化力に長けていたということですね。ハッセがモーツァルトに対して評した言葉が蘇りますね。しかし、どんな世界でも「オリジナル」というのはこうしたものです。わたしは「オリジナル」というのはこうしたコラージュの技能だと思っています。ヨーロッパの中にあった「ブリコレ」だと。あまりに精緻な記譜法という記録方法を編み出したために、「オリジナル」が、良くも悪くも様々な形で証拠が残る、厄介ですね。
誰かが、西洋音楽の五線譜による記譜法の発明が、西洋文化のもっとも偉大なオリジナルのひとつだと、いってたような。

ボンポルティ 『10のインヴェンション』 作品10

いいなと思ったら応援しよう!