パンク・レコードのジャケット
ジークフリート・パンクのジャケットを見つけました。6弦なのですが、録音に使用されたものだとすれば、これがホフマン製作の楽器だと思います。
パンクといえば、わたしにはCPEのソナタ集です。パンク以前にCPEバッハのソナタを録音している例は、どうも聴きあたりませんな。それとホフマン製の楽器はバッハも所蔵していた?のではなかったかしら。
1984年ライプツィヒ・パウル・ゲルハルト教会スタジオ(Studio Paul-Gerhardt-Kirche, Leipzig)録音。1987年ベルリン市政750年を祝って企画されたシリーズ「C.P.E.バッハ・作品集」全7枚のうち。ETERNA。使用楽器:Viola da gamba/Martin Hoffmann, Leipzig, 1693, Tangentenflügel /Späth und Schmahl, Regensburg (ca. 1794), Hammerflügel/Johann Schmidt, Salzburg (nach 1780) 西ドイツCapriccioと共同制作。
当時ETERNAのガンバ演奏の第一人者であるジーグフリート・パンクがソロを取る演奏で、使用したガンバは1693年製ライプツッヒで製造された古楽器。これぞガンバ!という、これ以上ない程の良い音を出している。フォルテ・ピアノは1794年製タンゲンテン・フリューゲル(タンジェントピアノ)と1780年製ハンマーフリューゲルの2種を使う。タンゲンテン・フリューゲルは世界に二十数台しか現存しておらず、日本には上野学園大学の楽器展示室に有る一台のみ。タンゲンテン・フリューゲルはA面の2曲で用い、B面のハンマーフリューゲルと同じくクリスティアーヌ・ジャコッテが担当。この古楽器はチェンバロに近い音色だが、タンジェントという木片で弦を下から突き上げる発音構造が、ちょうどチェンバロとフォルテピアノの中間に位置している。モーツァルトもザルツブルク時代、シュペート製作のタンゲンテン・フリューゲルを弾いていた。一説によると「バッハの作品と非常に相性が良かった」らしい。乾いた、しかも震える音が特徴的で、一度聴いたら耳に残る音である。勿論このLPはパンクのヴィオラ・ダ・ガンバが主役で、まず彼の音が素晴らしく良い。その上で、さらに古楽器タンゲンテン・フリューゲルの音も堪能出来てしまうという、非常に珍しい録音に仕上がっている。
とまれ、マスターズ入りのパンク先生はまだまだお元気な様子。1936年生まれ。ギュンターラミン下ライプツィヒの聖トーマス合唱団メンバー。チェロをライプツィヒ音楽アカデミーでアウグスト・アイヒホルン教授に師事。1962〜1980年ライプツィヒゲヴァントハウス管弦楽団のメンバー。
フランスもののレパートリは少ない様子ですが、チェロでクレプスの室内楽に参加する動画もあり。