笑うバロック展(476) アイドルを探せ 印象「鉄の女」
(474)(475)に引き続き登場。
初来日インタビューより。
キアラ・バンキーニ。2010年3月に初来日を果たす。1946年スイス・ルガーノ生まれ。世界をリードするバロック・ヴァイオリニストの一人。ジュネーヴ音楽院 とハーグ音楽院で学んだ後、シャーンドル・ヴェグとシギスヴァルト・クイケンの下で研鑽を積んだ。1981年に独自の室内オーケストラ「アンサン ブル415」を創立。
バンキーニ「ボッケリーニはこう書いています。《音楽は人の心に語りかけるために作られるものだ。だから私はできるだけその域に達しようと努めている。感情も情熱もない音楽は無意味だ。》ボッケリーニは同じことを1799年に詩人のマリー=ジョゼフ・シェニエに宛てた手紙の中で書いています。この信念を彼は生涯持ちつづけました。私にとって、ボッケリーニは偉大な詩人です。彼の音楽は表情豊かでやさしさに満ちています。私が彼の音楽をCDレコーディングするようになったのは彼の音楽が大好きだからです。ハルモニア・ムンディ・フランスから次のようなCDを出しました」
1992年 スターバト・マーテル
1997年 交響曲集
1999年 2つのヴィオラを含む五重奏曲
2000年 コントラバスを含む五重奏曲
2001年 六重奏曲
「1978年にアルノンクールとシギスヴァルト・クイケンに出会いました。そのときバロック音楽の新しい演奏法に強く惹かれ、バロックヴァイオリンを勉強すること、そしてバロック期のあまり知られていない作品を発掘することに専念しようと決意したのです。」
「1981年当時、ちょうど妊娠して、長いツアーに出ることが出来なくなったのです。それでジュネーヴで自分で活動する団体を作ったんです。ジュネーヴ音楽院の先生達も応援してくれたので。当時ジュネーヴにアーノンクールがやって来て、一緒に演奏しても、聴衆は数十人。ほんとにまだ古楽を聴く人は少なかったのですよ」
「イタリア・バロックだけを取り上げようと思ったのではなく、例えばヴィヴァルディの『四季』のように、すでに誰でも知っている作品を取り上げるのは止めようと思っただけです。アンサンブル415を始める時、ボローニャの図書館に何ヶ月も通い、そこに保存されているバロック期の楽譜をたくさん見ました。他の都市でもそうですが、図書館に眠っている楽譜は膨大にあり、まだほとんど整理されていないんです」
もともとボッケリーニは五重奏が多いが、バンキーニも五重奏を好む傾向があるように感じます。たしかモーツァルトの五重奏もあったはず。ボッケリーニはバロック音楽とは一線画すと思いますが、「心に語りかける」「感情」「情熱」、アフェットということを大事にした、といいたいのかしら。確かに、バンキーニはボンポルティも「心に語りかける」演奏で最後まで聴いてしまいます。(いわゆる古楽風な「語る」演奏とはちょっとニュアンスが違います) バリバリとソロを弾いて録音するタイプでなく、思いのほか慎重に吟味して録音に臨んでいる様子。地味なので初来日が2010年になってしまったのかも。
印象としての「鉄の女」は、ここでは褒め言葉のつもり。ブルーがお似合い。
合奏協奏曲も特徴のひとつかも。