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音楽の感想 ウルトラ「baroQue」

後日談。サンサーンス編のラモーの第1と第5コンセールを聴きました。そもそも曲のせいなのか、演奏家のせいなのか、素直な感想としてバランスがよく聴こえました。サンサーンスはピアノ独奏でもよいと注記しているかしら。

トリオ・ザディーグ~サン=サーンスへのオマージュ


「今、我々を取り巻く自然界の一部が、不思議な身動きを始めようとしています。そうです。ここは全てのバランスが崩れた、恐るべき世界なのです。
これから90分、あなたの耳はあなたの体を離れて、この不思議な時間の中に入っていくのです。」

「小さな心のゆがみがこうした事態を起こさないとも限らないのです。
なぜならアンバランスゾーンはあなたの身近に、
いやあなた自身の心の中に存在するのです。」

猛暑下のラモー----下記の財団の助成公演になっていました。時代はかわったものです。メセナの時代が終わってずいぶんたち、篤志家のトリクルダウンの時代になったのでしょうか。

わたしも、貧乏だと言っている割に何とか実演に接する機会もこさえています。他人に迷惑をかけても、この辺りが「25条」ラインなのではないかしら。
とまれ、わたしはラモーの音楽はすべて好んでいます。ネット上とはいえ偶然通りかかったので入場して拝聴しました。

予定席数は完売の告知。5000円×80席くらい、40万円なり。ベンチとベンチの間に補助椅子が置かれ、オルガンの設置されたバルコニーが礼拝堂の境目と考えると外野席も使って。老若男女100名くらい。猛暑注意の中、よくぞ。
15年ほど前からいわゆるクラシック音楽のライブは活況呈す感があります。ネットが発展しライブがライブで視聴できる新世紀、普及啓蒙が奏功した事例と感慨深く。「Kaori Uemura Viola da gamba」で動画検索すれば----。

当の小さな巨人上村氏が、第2組曲前にひとこと。この曲集は3楽器が同等でなくクラブサンが主役である、と注釈----しようとも、やはり、どこかバランスがおかしいと聴こえます。(オルガンバルコニーより前側の吹き抜け内の席の方が鍵盤が響いたのかも)

では楽器配置を、クラブサンを前面に出し、その背後に2弦楽器を置くか?あまりそうした事例は知りません。BGMとして聴こうとすると6声編曲版の方が安心できます。

第1組曲のクリカンはエキゾチックに聴こえ、全体の幕開きとしてもオペラチック。リブリ、ヴェジネと聴きながら、ライブゆえいくつか「はて?」が浮かんできました。1741年の作品。
数字付き低音なさそう?テレマンのパリ四重奏が1730年ころ。
助奏付き独奏曲なのか?そもそもこれは室内楽か?
CPEバッハの鍵盤、クラ、ファゴットのソナタ(1767年)に近いのか?

モーツァルトやハイドンに近いか?
うーんなんだかどれもピンときません。
ゆっくりした楽章はオペラのシーンが思い浮びます。はやい楽章はバレシーン。これも新世紀。ラモーの場合、舞台上演の映像がNHKでもとりあげられます。だから?なのかアンコールはどれかのオペラの中のコントルダンスでした。アンコールはラモーのオペラバレを彷彿させましたが、肝心の5つの組曲は----モヤモヤしたまま。
「アンバランスゾーンはあなたの身近に、いやあなた自身の心の中に存在するのです。」



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