バロック音楽の実演を聴く「 弾く女、聴く女、めくる女」2010年3月

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先ほど、ヨダメ先生のバッハオルガン全曲演奏が完結しました。
同一奏者、楽器でのサイクル完成は世界的に見ても3、4名のはず。女流ではアランの次?かも。さらにアーレントのオリジナル楽器での全曲ですし。そう考えると椎名くんの宣伝方法がホントひどいと思う。
とまれヨダメ先生、全250余曲 シンクーラです。

この偉業の背後にふたりの女がいます。わたしが知っているだけの話ですが。
ひとりは譜めくりの女。いつもヨダメの隣にいます。実は同業者で、相互に演奏家と譜めくりを交代して補完し合っている「バディ」なのだそうです。「ほかの人だと、オルガンの楽譜は横長で追いにくいので、譜めくりの人にハラハラしながら横に座っていられると、気が気じゃなくて演奏できません、そこへいくと仲の良い同業者なら全幅の信頼を置いて演奏に専念できるのです」

そして、もうひとり6年間全12回の演奏会を聴いた女がいます。バッハの全オルガン曲をライブでオリジナル楽器で聴いた女は世界広しといえども1000人は、いや100人だっていないのではないだろうか。
彼女は承前にあたる金沢正剛先生のレクチャー付きコンサートから聴いていますから、もう筋金入りです。そこらへんの自称バッハオタクでは到底なしえない偉業を成し遂げました。ルーリーの「内なるオルフェウスの歌」ではないけれど、素晴らしい「オーディエンス」を得たことで、ヨダメ先生の演奏は、フィチーノ的に霊的にも高次なものになったはずです。
この「オーディエンス」を忘れている演奏家のなんと多いことか。ヨダメ先生は、そうした「オーディエンス」を大切にする真の「音楽家」のひとりです。椎名くん聴いてるかしら。公称チケット完売でもあなたのオーディエンスが誇大広告の全曲のお付き合いを成し遂げるためにはあと2年かかります。時間をかけて行ったことは、そのかかる時間を短縮して、それを乗り越えることはできません。

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